2012 Fiscal Year Research-status Report
純スピン流の局所注入による多ビット情報書込み技術の創出
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23651150
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 崇 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授 (80360535)
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Keywords | スピントロニクス / 磁気記録 |
Research Abstract |
本研究の目的は、強磁性体をサブミクロンサイズに加工して人工的に創出した多磁区構造を用いて、複数の情報(多ビット化)を書込・記憶させる革新的磁気記録技術を開発することである。研究代表者が考案した純スピン流(電流の流れを伴わないスピンの流れ)の局所的注入技術を用いた書込アーキテクチャは、多磁区構造を形成しているナノ磁性体の一部の磁区構造のみを選択的かつ低消費電力で反転させることを可能にする。 今年度は、局所的に純スピン流を注入することで形成された磁区領域を制御することで、素子のマルチビット化の実現を目指した。4mAの直流電流を重畳して非局所スピン信号を測定したところ、直流電流から生成されるスピントルクが作用することで、外部磁化からの磁化反転よりも早い段階で局所的な磁化反転が起こることが観測された。こうして得られた信号から3段階の抵抗変化が見られ、3状態からなるマルチビットを実現した。さらに8mAの直流電流を重畳させることでさらに早い段階での局所的磁化反転がなされ、最大4状態からなるマルチビット化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所スピン流注入を実現する素子構造の作製技術を一昨年に開発し、さらに今年度は、同構造を用いて局所スピン注入を実現した。その結果、マルチビットに対応する多段のスピン信号変化が観測され、多ビット磁気記録の実現に大きく前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者は既に①多端子スピン注入源を用い、巨大純スピン流を生成させる技術②磁化に対して垂直方向の成分を持つスピン流を注入させることで、磁化反転に必要なスピン流を最小限に低減させる技術③ホイスラー合金電極を用いてスピン生成効率を飛躍的に向上させる技術を有しており、それら3つの要素技術を組み合わせることで、書込技術の高性能化を実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、実験消耗品(有機溶剤、電子線レジスト、蒸着材料等)と国内会議用の旅費である。
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