2012 Fiscal Year Annual Research Report
世代間不公平性解消のための投票制度改革-人口動態と空間に着目した分析-
Project/Area Number |
23651153
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 義明 筑波大学, システム情報系, 教授 (50183760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆史 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (90466657)
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Keywords | 選挙制度 / 選挙区 / 中位投票理論 / 投票年齢引き下げ / 総合計画 / インフラ過剰供給 / 東日本大震災 / 数理モデル |
Research Abstract |
本年度の実証研究では,茨城県44自治体を分析対象とし震災後の将来人口をデータ加工などの内挿を施しコーホート法により推定し,震災の影響により人口減や高齢化が進行する自治体を抽出した.結果,中長期的視点で,高台を有する地域での人口増,放射線被害が懸念される自治体での人口減を明示することができた.理論研究では異なる人口ピラミッドの地域モデルを構築し,地域間距離と各地域の投票による政策結果との関係を明確化した.自治体合併前後比較など選挙区の縮小・拡大が投票結果へどのように影響するのかを,中位投票理論のメディアンの時系列的軌跡から考察した. 以上から,2年にわたる研究期間において,実証の観点では,具体の関東地域の自治体の将来人口を推定し20歳(18歳)以上のメディアンを算出し地理情報システムなどを用いて時間的かつ空間的に見える化し,投票年齢引き下げの影響を分析した.また,北関東3県自治体の将来予測人口と,各自治体が策定する総合計画の目標人口と比較することにより,目標人口の課題推計度合いを定量的に明確にした.政治的判断も含むこのような過大人口設定が,インフラの過剰供給につながるわけであり,特に茨城県において過大となる自治体が多いことを示した.さらに,茨城県内44市町村を対象とし,東日本大震災による現時点での人口流出の影響を分析した.被災地での児童を含む若い世代の人口流出が短期的な影響のみならず,被災地に政策選択の高齢化を加速化させることを定量的に示した.最後に,理論研究では,選挙区内では短期的な地域優先か長期的な世代優先かというトレードオフを踏まえ,異なる人口ピラミッドを持つ2地域にて2政策を選択するモデルを構築し,地域間距離や選挙区の大きさと各地域の投票による政策結果との関係を解析的に導いた.
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Research Products
(4 results)