2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23651174
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
河田 恵昭 関西大学, 社会安全学部, 教授 (10027295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 智幸 関西大学, 社会安全学部, 教授 (40261599)
山本 浩司 一般財団法人地域地盤環境研究所, 地盤情報グループ, 主席研究員 (70450905)
鈴木 進吾 京都大学, 防災研究所, 助教 (30443568)
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Keywords | 津波 / 考古学 / 縄文海進 / 大阪湾 / シミュレーション / 遺跡 |
Research Abstract |
本研究は、3つの分担課題から構成されている。まず、地形復元研究では、大阪湾とその周辺の約2万6千本のボーリングデーターを活用して、縄文海進時をはじめ千年単位の大阪湾から紀伊水道にかけての海底地形を復元した。この海底地形に対して、歴史津波シミュレーション研究を実施し、地震マグニチュードM8.4の南海地震による津波を発生させ、その伝播特性を数値計算によって再現した。その結果、現在の大阪市の西方に浸水域が広がるほか、河内地方の浸水状況が再現できることがわかった。このようなはん濫特性は、大阪湾周辺では縄文遺跡や貝塚が破壊・流失し、その痕跡が残らないことを明らかにした。一方、遺跡存在可能性研究では、現存する縄文遺跡と弥生遺跡の正確な標高から、どの程度までの高さの津波であれば、残存できるかという情報を与えることができる。そこで、両者の遺跡が数多く残っている東京湾周辺について検討することにした。その結果、遺跡の標高は平均海面上、4から5mの範囲以上のものが多く、この高さ以下の津波ではこれらの遺跡は残存する可能性が高いことが見出された。この事実の検証は、東京湾では4から5mを超えるような津波は歴史的には発生してこなかったことを明らかにすればよく、それは首都直下地震による津波発生の可能性の検討とともに考察することにした。その結果、東京湾内では、このような大きな津波は発生せず、遺跡が残存する可能性が高いことがわかった。以上のことから、津波シミュレーションを駆使すれば、縄文から弥生時代の遺跡分布に及ぼす津波の影響が同定でき、これによって、全国の遺跡分布の再考が可能になることが明らかになった。この結果は、従来の縄文時代の人口分布が大きく変化することを示唆しており、考古学上の定説を再考し、津波考古学を発展させる必要があることを示すことができた。
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Research Products
(11 results)