2011 Fiscal Year Research-status Report
ZigBeeを用いた地すべり監視ユビキタスセンシングネットワークの構築
Project/Area Number |
23651176
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川村 洋平 筑波大学, システム情報系, 講師 (40361323)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 敬一 日本工営株式会社中央研究所, 総合技術開発部 岩盤解析グループ, 研究員 (00463563)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 地すべり / ZigBee |
Research Abstract |
本研究では、無線通信の標準規格のひとつであるZigBeeを活用した斜面監視システムを提案している。ZigBeeとは計測制御を目的とするワイヤレス・センサ・ネットワークの国際標準である。ZigBeeを採用した理由は以下の2つの観点からである。1)一つのネットワークに接続できる端末が多いことから対象斜面全体に柔軟にネットワーク構築ができる。2)マルチホップ機能により、端末同士が相互にデータを転送し合うことにより、斜面の麓までデータ伝送することができる。麓まで伝送されたデータは、公衆回線や、ZigBeeの無線ネットワークを利用して、任意の計測室まで転送することができる。ZigBeeを地すべり監視に活用するにあたり、無線であるがための電源消費量の問題が残されている。地すべりは移動速度が0.01~10mm/dayと遅いため、長期間に渡る計測が必要である。しかしながら、無線を用いたネットワークを構築する際、有線からの電力供給が受けられない。そのため、計測機器およびZigBee の無線通信機器を常時起動させておくと短時間でエネルギーがなくなる。電力が抑えられるのは、スリープ機能を持つZigBeeエンド・デバイスとして用いた時のみである。しかし、広域な地すべり斜面にZigBeeを用いて監視する場合、接続形態としてデータ伝送を端末同士連携しながら行うことができるメッシュ形を用いる必要がある。接続形態にメッシュ形を用いる場合、ZigBeeをZigBee・ルータとして設定するがデータ伝送を連携(中継)して行うためZigBeeルータは定期的に通信できることを確認するため端末は常に起動しており、待機電力が大きくなる。この電源消費量の問題に対する対策方法として本研究では、ZigBeeルータでありながらスリープ させることができるGeoSenseを開発し斜面監視システムとして動作させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
項目1:ルーター機能時にスリープが可能なZigBeeノード(GeoSense)の開発・検証地すべりを監視するためには対象へのネットワーク構造をメッシュトポロジとする必要がある。メッシュトポロジはすべてのZigBeeをルーターとして機能させるため、消費電力は大きくなってしまい、ZigBeeの利点の一つを使えなくなる。本項目では、ルーター時にスリープが可能なZigBeeノードを開発する。外付けマイコンによるハードウェア制御およびモード移行プログラムによるソフトウェア制御を組み合わせることによりルーター機能時にスリープが可能なZigBeeノード(GeoSense)を開発する。なお、GeoSenseは日立ワイヤレスインフォ製のAirSenseをベースとして開発できた。項目2:傾斜計および降雨強度計の値を起動信号とした物理的なトリガシステムの開発・検証315MHz特定小電力無線帯および413MHzアマチュア無線帯を起動信号として利用する。項目1の開発により待機時のZigBeeはスリープ状態に入っている。斜面に展開されている傾斜計もしくは降雨強度計のどれか一つが斜面の傾斜もしくは降雨を確認したら、それに接続されるZigBeeのスイッチが入り起動する。周辺のZigBeeを起動させるに、上記無線を利用する。各ZigBeeにトランスミッタと、レシーバ組み込み、スイッチが入ったZigBeeは、周辺のZigBeeを起動させるために起動信号の電波を送る。周辺のZigBeeは、レシーバで起動信号を受信してZigBeeを起動させネットワークを自律的に構築できるようにした。このシステムによって、普段斜面に動きがないときには、ZigBeeのバッテリをほとんど減らすことなく、計測時のみ電力を消費するシステムが構築できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに開発した、スリープ・起動が任意に設定できるZigBeeモジュールであるGeo-Senseをもちい、地すべりにおける初期段階の挙動を計測する。また、トリガシステムの完成度を上げる必要もある。さらには、アンドロイドフォン、iPhoneおよびWindowsフォンにZigBeeノードを接続し、こららの端末からZigBeeノードを制御する手法も開発する。これらの技術により、より簡便に斜面情報を低消費電力にて取得することを目指す。またリレー型トリガのみならず、1局集中型トリガの開発も視野に入れている。斜面の電源状況によっては、本システムの有効性が生かせると考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は254,819円を繰り越している。この繰り越しは追加するZigBeeノードの選定に時間を要したためである。次年度に計画している大規模な実規模実験(実地におけるシステム動作確認)には選定したZigBeeノードを多数用いることとなる。その際に本繰り越し金を活用し、大規模展開のための機材拡充に充てる。上述のとおり次年度はZigBeeを用いた地すべり監視システムの完成とそのシステムを活用した地すべりにおける初期段階の挙動を計測する。次年度の研究費の主な使用計画としては、地すべり監視システムの融合・運用試験および調整を行うためのソフト・ハードを購入することおよびそれに掛かる打ち合わせ(出張費)に充てる。また、関連のある国際会議に参加し、本研究に関わる情報収集にも研究費を使用する。さらに論文を発表する際の英文校正費用も捻出する予定である。最期に地すべり検知に有効なデータの所得するため、地すべり監視対象斜面に上記システムを展開し、地すべりの早期検知および発生初期の挙動解析に有効なデータを取得する。このためにデータ取得のための機器を購入する。
|
Research Products
(1 results)