2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞における成熟mRNA再スプライシングによって生じる異常転写産物の網羅的探索
Project/Area Number |
23651198
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
亀山 俊樹 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (60298544)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 癌細胞 / Lariat-seq / スプライシング / TSG101 / FHIT |
Research Abstract |
我々はこれまでに、このTSG101遺伝子の異常転写産物が、成熟mRNAが再びスプライシングされてしまうという、mRNA品質管理上本来起きてはならないことが癌細胞で起きてしまうことに由来するという事実を発見した。再スプライシング現象の証明は、RNase Rを用いてエクソンの配列のみからなる投げ縄状RNA中間体の存在することによって示した。本研究では癌由来細胞の全RNAをRNase Rで処理することにより投げ縄状RNA中間体ライブラリーを作製し、これを次世代シークエンサーによる配列解析することにより再スプライシングによって生ずる癌細胞特異的異常転写産物を網羅的に探索する(Lariat seq)ことを目的とした。 予備的な実験としてTSG101遺伝子以外にも再スプライシングを受ける可能性がある遺伝子が有るか否か探索した。その結果FHIT(Fragile Histidine Triad)遺伝子が候補として見つかった。TSG101と同様に再スプライシングが生じることの証明を行ったがその過程に於いて、実験手技的に大きな困難に直面した。それはFHIT遺伝子のイントロンの多くが100kbを超える非常に巨大な物であることに依拠していており、RNase Rによる投げ縄状RNAの検出は困難を極めた。巨大投げ縄状RNAはその抽出時に酵素的な分解はもちろん、その長さ故に物理的に剪断を受ける可能性も非常に高く、一度でも剪断が入りサーキュラーな構造が破壊されるとRNase Rによって簡単に完全分解されてしまう。しかしながらその解決法はむしろシンプルであり、Total RNA抽出の際、ゲノムDNA抽出操作と同程度マイルドな処理を行うことにより解決し、FHIT遺伝子も成熟mRNA再スプライシングを受けるということを証明することが出来た。 ヒトの遺伝子の構造は複雑でイントロンの長さも短い物から100kbを超える非常に長い物まで多様である。網羅的な解析を行うためには高品質の投げ縄状RNA中間体ライブラリーを作製することが非常に重要である。今年度直面し解決した問題点に留意しながら現在高品質投げ縄状RNA中間体ライブラリーの作製を行っている。
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Research Products
(3 results)