2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23652015
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
下野 正俊 愛知大学, 文学部, 教授 (70262053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木島 史雄 愛知大学, 現代中国学部, 准教授 (50243093)
須川 妙子 愛知大学短期大学部, ライフデザイン総合学科, 教授 (40342125)
山本 昭 愛知大学, 文学部, 准教授 (50269304)
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Keywords | 思想史 / 教養 / 現象学 / 書画 / 料理教育 / 女子教育 / オントロジー |
Research Abstract |
当初計画に基づき、以下の通りの実績をあげた。 【本年度固有の成果】下野は、昨年度既に示唆的に発表した、ドイツ啓蒙期における芸術をめぐる言説の知識社会学的研究をさらに進め、この時代の教養概念の内実についての知見を深めた。木島は、これまでの東洋的書画についての歴史的研究をさらに深化させ、東洋的絵画の鑑賞について、認識論的に精密な記述を与えることに成功した。須川は、前二年間の成果として、近代女子教育において料理教育は実用を伴わない教養教育であったと結論づけたが、これをうけ、本年度は『婦女新聞』の分析を行ない、実用的な料理情報が必要であった階層の女子は、新聞記事を実用的な料理の情報源としていたことを明確にした。 【研究全体に通じる成果】下野は、これまでの成果を総括し、今後の研究のための理論的基盤を確保するべく努力した。とりわけ、「生活教養」「存在論的真理」(この二つは本研究の独自の概念である)の二概念についての理論的考察に努め、フッサール現象学の概念である「基づけ」を用いて解明することを試みた。上記木島の研究について、このような研究はこれまでの東洋美術史研究においてほぼ未踏であり、東洋的教養世界全体の研究と併せ、本年度だけにとどまらず研究全体を通じての重要な成果となったと評しうる。山本は、電子書籍の普及と記録媒体の急速な変化という二つを主題として研究を遂行した。その知見は他の研究分担者の論文執筆において理論的基礎を提供するものであり、本研究が今日的意義を持つ上で貴重なものであった。 本年度は研究最終年度であるため、我々は、これまでの研究成果を要約・総括し、理論化する作業に注力した。この間、研究成果の相互検討、知見の提供は非常に濃密に行われ、共同研究の成果としては期待以上のものがあったと自負するものである。
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