2013 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者及び緩和ケアにおける音楽健康法としての声楽療法の実践とその有効性
Project/Area Number |
23652039
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
橋本 エリ子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60253366)
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Keywords | 声楽療法 |
Research Abstract |
最終年度は、高齢者及び緩和ケアにおける声楽療法の接点と役割を明らかにする目的で、正しい呼吸法と発声法に基づく健康的な歌唱による身体づくりと、精神療法として心を癒す療法として声楽療法を実践した。 第一に、声楽療法をグループで実施する場合と、個別にそれぞれの習熟度に合った目標と課題を与えて声楽療法を実践する場合の効果と有効性について比較・研究を進めた。意図的に、隔週で継続的に声楽療法を実践した結果、①心身の健康維持・活性化 ②リラクセーション効果 ③生き甲斐の再生 ④精神的安定の獲得 ④集中力の回復 ⑤歌唱による自己実現での満足感・達成感の獲得 ⑦QOL(生活の質)の向上など、7つの効果があることが分かった。 第二に、ニューヨーク大学ノードフ・ロビンズ音楽療法センター・音楽療法科におけるアメリカの最先端の音楽療法教育、バンクーバーのセント・ポール病院・緩和ケア病棟のターミナルケアにおける音楽療法の役割、そしてトロントのPrinces Margaret Hospitalの緩和ケア病棟を視察し、カナダの音楽療法教育と現在実践されている音楽療法を調査し、研究を進めた。 第三として、日本における緩和ケア病棟を視察し、声楽療法を実践した。日本の歌曲や童謡など、昔子供の頃に口ずさんだことのある懐かしいクラシック声楽作品を用いたことにより、これまで食事が喉を通らなかった患者さんが、進んで食事を摂るようになるなど回復が見られ、声楽療法の有効性が明らかとなった。 本研究により、音楽という言葉を越える芸術媒体として行われる声楽療法(ベルカント・セラピー)の重要性と正しい呼吸法及び的確な指導者による健康な歌唱を継続することにより、音楽を楽しむことで心を癒し、生きる喜びなどの生き甲斐再生や支援となり得ることが実証できた。
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Research Products
(1 results)