2012 Fiscal Year Annual Research Report
在仏『北斎漫画』解読と、ギメ、オルセー両美術館蔵「日本関連文献」の総合的研究
Project/Area Number |
23652072
|
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
柏木 加代子 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (10128689)
|
Keywords | トロンコワ・コレクション / ボザール 資料館 / ジャポニスム / 北斎漫画 / ニース・シェレ美術館 / ルーヴル美術館 / 日仏文化交流 |
Research Abstract |
ニ-ス図書館主任司書であるペステール氏から、フランス文学に多年従事している研究代表者に依頼された『北斎漫画』全15編15冊の裏扉その他に見られる墨筆記述(手書きの文字)の解読を約束し、さらにパリ・ギメ美術館とオルセー美術館が温存する日本関連資料の詳細調査を実施した。興味深いことは、今回調査の対象となったニース・シェレ美術館蔵『北斎漫画』が、1856年頃、エッチング画家のブラックモンが彼の作品の印刷者ドラツールの店で1856年ころ目にした、ジャポニスム研究において伝説の『北斎漫画』であった可能性も否めないことである。1928年開設のシェレ美術館蔵『北斎漫画』については、1935年に、ヴィタ男爵から寄贈されたヴィタ・コレクションに収められたものである。このヴィタ男爵の経歴には、彼がジャポニスムの最盛期にその生涯をおくり、ジャポニスム伝説の発端として考えられている『北斎漫画』に重要な役割を果たすブラックモンが、彼の最も親しい友人の一人であったことなど、本課題にとって重要な事実にみちていることが判明した。 最終年度には、幸運にも、1999年以来、研究代表者が立ち上げた、京都市立芸術大学とパリ・エコール・デ・ボザールとの交換留学生の12年間を記念する展覧会(於、ギャラリー・アクア)を2012年に行ったのが評価され、ボザール資料館が1907年以来所蔵する、手つかずの日本美術品約500点の検討をボザール副学長ルボワスチエ氏から依頼され、24年度の科学研究報告書でその全ての作品の詳細を公開することができた。 今後はこれらの未公開の作品を日本の美術館で展示するための準備(資料分析、修復など)に取り掛かる。
|
Research Products
(3 results)