2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23653042
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 一人 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60334025)
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Keywords | 宇宙利用 / 国際協力 / グローバル・ガバナンス / グローバル・コモンズ / 技術の汎用化 / 国際行動規範 |
Research Abstract |
本年度は、当初、ラテンアメリカを中心に研究をする計画であったが、アジアにおける宇宙開発新興国が急速に発展し、積極的な活動を行うようになってきたため、当初の計画の対象地域とは異なるが、アジアにおける宇宙新興国がいかに宇宙開発に参入し、宇宙空間の持続的な利用に関する国際的な規範を受け入れていったかについての調査を重点的に進めていった。 本年度は後期にプリンストン大学国際地域研究所に長期出張を行い、アメリカにおける国際関係学の最先端に触れつつ、グローバル・コモンズと呼ばれる国際的な共有空間の統治における規範の構築についての研究を行った。この研究の成果は平成25年度に行われる全米EU学会で発表する予定となっている。 本年度9月にはカーネギー国際平和財団が主催するワークショップで報告し、オーストラリア政府の招聘により、ASEAN地域フォーラム(ARF)の政府間会合で専門家として宇宙空間の安全保障問題を論じ、国連軍縮研究所の招聘でアジアにおける宇宙活動の規範についての基調報告を行った。また、イギリスの王立国際問題研究所で行われた宇宙空間とサイバー空間の安全保障政策についてのシンポジウムで議長を務めた。 これらの研究の成果は宇宙開発政策において権威のあるSpace Policyという英文雑誌に掲載されている(掲載誌は平成25年5月発行予定)。また、共著としてLangdon MorrisとKenneth J. Coxが編集した宇宙活動の国際協力と国際競争を巡る著作やインドの専門家であるAjey Leleが編集した宇宙空間の行動規範に関する著作にも執筆者として加わった。このように、アジアにおける宇宙開発の動きが活発になることで、様々な議論や発表の機会が生まれたこともあり、本年度はこのような研究活動となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は計画以上の進展が見られるとしたが、本年度も予想外の機会に恵まれ、計画の若干の変更を必要としながらも、当初想定していた以上の成果を上げることが出来た。何よりもアジアにおけるダイナミックな変化を目の当たりにし、国連軍縮研究所やカーネギー国際平和財団、英王立国際問題研究所など非常に高い水準の研究機関から招聘され、共に研究を展開していくことが出来たことが大きい。また、これらの活動を通じて、宇宙政策だけでなく、グローバル・コモンズのガバナンスについて研究している専門家ネットワークの中に入り、幅広い人脈を形成することが出来たことは大きい。こうしたネットワークを通じた意見交換や研究機会の拡大は、今後、様々な国際問題についての資産となっていくであろう。 また、今年度は、日本政府(外務省)やオーストラリア政府からの招聘を受けて、外交の現場に立ち、実際に宇宙空間における持続可能な政策や行動規範を構築するための活動に直接かかわれたのも大きい。アメリカの国務省国務次官補や中国の軍縮不拡散局長といった外交官たちに専門家としてアドバイスし、国際交渉のプロセスに研究で得た知見を提供できたことは、本研究の目指すところであり、高く評価したい。 さらに、本年度後期はアメリカのプリンストン大学国際地域研究所にて長期研修を行い、現在の国際関係学の最先端に触れただけでなく、様々な地域や理論研究の専門家とのネットワークが出来たことも大きい。この研修を通じて、アメリカにおける国際関係学の現状を知るだけでなく、アメリカから見た国際規範のあり方や、アメリカ自身のコミットメントについても理解が深まった。 このように、本年度の研究活動は当初の予定とは変わってしまったが、変更したことで極めて充実した研究活動を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は中国を中心に研究を進めていく。中国に関してはアクセスが困難であるため、研究開始直後から準備を始める必要があるが、それがうまく調整できるまではそれなりの時間がかかると考えられる。また、平成25年度には北京で国際宇宙会議が開催される予定になっており、中国における調査を行う上では理想的な状況にある。本年度の研究を通じて、中国との人脈も随分と深まっており、北京大学の国際関係研究所や北京航空技術大学などとの関係も強まってきている。またプリンストン大学でもアジア研究者とのネットワークが出来たことで、それらを活用して調査を進めていきたい。また中国にはAPSCOの本部があり、アジア地域における宇宙開発協力の一つの中心となっていることもあり、そこでも調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] The Need for Norms in Outer Space2012
Author(s)
Kazuto Suzuki
Organizer
Eusuring Asia-Pacific's Secure and Sustainable Use of Space: The Role of Norms of Behaviour
Place of Presentation
Berjaya Times Square Hotel (Kuala Lumpur, Malaysia)
Year and Date
20121212-20121212
Invited
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