2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23653115
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
小林 直樹 玉川大学, 観光学部, 准教授 (80534825)
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Keywords | MCMC / 実証的会計研究 |
Research Abstract |
本研究では,頻度論に立脚した分析の枠組みにとらわれず,今までにはなかった現実をより反映したモデル構築による新たな実証的会計研究のフレームワークを提供することによって,将来の実証的会計研究のさらなる発展に資することをその目的に平成23年度から研究を進めてきた.最終年度においては,当初予定していた到達目標には届かなかったものの,MCMCを用いた論文の公表のほか,最終目標である論文の執筆に必要なデータの収集を終えた.本研究期間を通じて,再発見した事項は次の通りである. ・会計理論モデル研究者の中にも,理論モデルが実証研究で利用されて初めて有用性が高まると認識できている研究者はいるものの,多くの場合作りっぱなしに終わる. ・実証的会計研究を主とする研究者は,会計理論モデル研究者と比べて,数学・統計が圧倒的に劣るため,理論モデルを実証分析の枠組みに落とし込めない. ・結果的に,両者の懸け橋となる研究者がほとんどいないため,会計理論モデル研究と実証的会計研究のシンクロは難しく,現状が続く限り進化の袋小路からの脱却も当面はない.現状の会計研究の根本的な問題は,実証的なアプローチをする多くの会計研究者に,本来ならば実証研究をするに望ましいレベルの数学・統計の知識が決定的に欠如していることであるが,こうした事態を招いた原因は,種々統計ソフトの恩恵を過多に受けるあまり,数学・統計に関する知識修得の怠慢にある.現状を解決するためには,実証研究をするに望ましい数学・統計の知識レベルに達することが最も重要である. そして,実証的なアプローチをとる会計研究者の数学・統計の知識が望ましいレベルに達すれば,実証的会計研究の到達すべき新ステージが見えてくる.それが,ベイズ理論に基づく実証的アプローチである.ベイズ理論に基づく統計モデリングは,2つの研究領域間に懸け橋をかけると同時に進化の袋小路から脱却するのである.
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Research Products
(1 results)