2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23653149
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
松山 郁夫 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (90363415)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 自閉症 / 地域包括支援 / 生活支援 / 家族 / 生活支援員 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自閉症者の日常生活や社会生活の質を高めることを目標とした地域包括支援の進展を目指す方策を案出することである。平成23年度は、(1)自閉症者の家族が必要としている支援内容、(2)障害者支援施設の支援者における自閉症者の状態に対する認識、及び生活支援や療育方法の現状、について研究を行った。 (1)については、アンケート調査(自閉症児者の家族274名からの有効回答があった)によって、家族における自閉症児者の状態、接し方、学校や福祉施設等社会的支援に対する認識、(2)については、アンケート(障害者支援施設に所属している生活支援員301名からの有効回答があった)と面接による調査によって、生活支援員における自閉症者のコミュニケーション、生活、外出時に関する状況に対する捉え方、及び自閉症者に対する生活支援に必要な地域の社会資源、QOL(生活の質)向上のために必要な取り組みに対する認識を検討した。 このことから、(1)家族は自閉症者のコミュニケーションや社会適応が困難なこと、及び学校や福祉施設等による支援が障害特性に対応できていないこと、(2)生活支援員は自閉症者のコミュニケーション、日常生活、外出等において状態に応じた支援を必要と捉えていること、等が明らかとなった。したがって、これらの知見を基にして、地域社会で自閉症者の家族が必要としている在宅や福祉施設における日常生活や社会生活等の生活支援(就労支援も含む)のあり方を考察することが不可欠と考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、自閉症者の日常生活や社会生活の質を高めることを目標に、地域包括支援の進展を目指す方策を案出することを目的とした研究であり、平成23年度は、(1)自閉症者の家族が必要としている支援内容、(2)障害者支援施設の支援者における自閉症者の状態に対する認識、及び生活支援や療育方法の現状、について研究を行うことを予定していた。このため、自閉症者の家族が必要としている支援内容については、アンケート調査(自閉症児者の家族274名からの有効回答があった)によって、家族における自閉症児者の状態、接し方、学校や福祉施設等社会的支援に対する認識を検討した。また、アンケート(障害者支援施設に所属している生活支援員301名からの有効回答があった)と障害者支援施設10施設における面接調査によって、生活支援員における自閉症者のコミュニケーション、生活、外出時に関する状況に対する捉え方、及び自閉症者に対する生活支援に必要な地域の社会資源、QOL(生活の質)向上のために必要な取り組みに対する認識を検討した。 これらのことから、(1)家族は自閉症者のコミュニケーションや社会適応が困難なこと、及び学校や福祉施設等による支援が障害特性に対応できていないこと、(2)生活支援員は自閉症者のコミュニケーション、日常生活、外出等において状態に応じた支援を必要と捉えていること、等が明らかとなり、これらの結果から、地域社会で自閉症者の家族が必要としている在宅や福祉施設における日常生活や社会生活等の生活支援(就労支援も含む)のあり方を考察することになったため、当初予定していた本年度の研究目的をおおむね達成し、順調に進展しているとみることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた知見を基にして、次のことを明らかにする。(1)地域における青年期・成人期の自閉症者に対する支援の現状の明確化全国の発達障害者支援センター78か所における青年期・成人期の自閉症者の支援とネットワークに関する認識と取り組みを検討する。このため、発達障害者支援センターすべてに対するアンケート調査及び10か所に対して面接による調査を行う。これらの調査から得られた結果を分析し地域における自閉症者に対する支援の現状を明らかにする。(2)地域社会における青年期・成人期の自閉症者に対する支援の方向性の明確化発達障害者支援センターへの調査から得られた知見と平成23年度の研究で得られた知見を踏まえて、自閉症者が地域社会で自立した生活を送るための支援の理念、目標、方針、展開の仕方について検討する。また、具体的な生活支援の方法や療育方法と行う上での留意点を考察し、地域社会における自閉症者に対する支援の方向性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
地域における青年期・成人期の自閉症者に対する支援の現状の明確化するために、全国の発達障害者支援センター78か所における青年期・成人期の自閉症者の支援とネットワークに関する認識と取り組みを検討する。このため、発達障害者支援センターすべてに対するアンケート調査及び10か所に対して面接による調査を行う。アンケート調査に10万円、面接調査に40万円の支出を予定している。
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