2011 Fiscal Year Annual Research Report
スマートフォンを用いた「弱い紐帯」の維持・再活性化による社会関係資本の醸成
Project/Area Number |
23653179
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
小林 哲郎 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (60455194)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 社会心理学 / 社会関係資本 / 弱い紐帯 / スマートフォン / フィールド実験 / 行動指標 / Cyber Physical System |
Research Abstract |
本研究の目的は、社会的ネットワーク理論の知見と情報通信技術の有機的な接合を通して、携帯電話を用いた「弱い紐帯」の維持・再活性化による社会関係資本の醸成を試みることにある。急速に普及しつつある高機能携帯電話(以下、スマートフォン)は、携帯電話を介した社会調査を可能にするだけでなく、コミュニケーション行動に関するデータ収集を飛躍的に容易にしている。スマートフォンを介して得られるデータを解析し、利用者に「弱い紐帯」とのコミュニケーションの活性化を促進する刺激を定期的にフィードバックすることで、「弱い紐帯」の維持・再活性化を促進することができる可能性がある。このことは、情報通信技術を活用することで「橋渡し型」の社会関係資本の蓄積を促進するという社会的意義がある。 平成23年度は、Google社製のAndroid OS上で動作する研究用アプリケーションを用いて、コミュニケーションログの取得、ネットワークデータの取得、ログに基づいた「弱い紐帯」の特定とその維持・再活性化刺激を用いたフィールド実験を行った。このアプリケーションは、スマートフォンにインストールされるアプリケーションを通して、通話・メール等のコミュニケーションログを自動取得する。同時に、ログとして取得できない対面コミュニケーションや個人特性に関するデータも同一のアプリケーションが起動する社会調査を通して取得する。得られたデータを解析することによって各紐帯の強さを指標化し、「弱い紐帯」を特定する。データは時系列的に蓄積されていくため、長期間連絡がとられていない「弱い紐帯」や徐々に連絡頻度が減少しつつある紐帯を特定できる。特定された減衰・切断されつつある「弱い紐帯」を維持・再活性化するためのリマインダやコミュニケーションのきっかけをスマートフォンに定期的にフィードバックする実験群と、ログと社会調査データの取得のみを行う統制群を設定し、「弱い紐帯」の量的・質的指標を従属変数とした被験者間フィールド実験を行った。インターネット調査会社のモニタの中から実験に同意した被験者を対象に、約2カ月の間アプリケーションの使用を求め、データの収集を行った。
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