2012 Fiscal Year Annual Research Report
学校精神保健における精神科医療アクセス阻害要因の探索的検討
Project/Area Number |
23653190
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
細羽 竜也 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (40336912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 努 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (70316131)
越智 あゆみ 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (60445096)
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Keywords | 大学生 / 精神科医療機関 / アクセス / アクセス支援 / パーソナル・コントロール |
Research Abstract |
若年層の精神科医療へのアクセスの低さの実態を明らかにし,アクセス支援プログラムを作成するため,3つの研究事業を段階的に実施した.第1に,精神科医療機関へのアクセス促進・阻害要因を探索するための調査研究事業を行い,アクセスに影響する心理的・社会的条件の探索を行った.第2に,相談支援場面におけるアクセス促進・阻害要因をシミュレーション的に検討した.第3に,第1・第2ステップの結果を踏まえ,自殺念慮の強い人へのアクセス支援プログラムを作成し,青年期の学生にそのプログラムの有効性を評価させた.主な結果は以下のとおりである. 【第1ステップ】抑うつの状態のシナリオを作成し,悩んでいる主人公を自分に仮定するシミュレーション調査を行った.大学生59人の回答を分析したところ,医療機関など効果が期待できる機関を利用した場合,96.5 %の人が状態の改善を予想した.一方,信頼している人から受診勧奨を受けた場合でも,42.1 % の人が「受診しない」・「わからない」と回答した.回答の理由としては,「納得できない」・「行きたくない・病気ではない」など,罹患の否認が強く現れていた. 【第2ステップ】相談支援機関の利用の際に,カウンセラーの応答が支援の利用にどのように影響するか検討を行った.大学生56人の結果を分析したところ,相談者自身に共感的であり,親身になって聴く姿勢を示すことが重要であることが示唆された. 【第3ステップ】第1・第2ステップの結果にもとづき,医療機関へのアクセス支援プログラムを作成し,大学生にそのプログラムを体験させ,有効性を評価させた.その結果,まずは受容的でともに問題を考える姿勢が重要であると示唆された. 本研究事業の結果から,精神科医療機関のアクセスを促進する要因として,援助内容や援助条件のパーソナル・コントロールの尊重が重要である可能性を考察した.
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Research Products
(12 results)