2012 Fiscal Year Annual Research Report
外国人学校の社会学-「往還する人々」の教育戦略を軸に
Project/Area Number |
23653265
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
志水 宏吉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40196514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林嵜 和彦 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (10410531)
鍛治 致 大阪成蹊大学, 経営情報学部, 准教授 (50465655)
ヤマモト ベバリーアン 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (10432436)
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Keywords | 外国人学校 / 教育戦略 / 多文化教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本に100校以上存在する「外国人学校」の教育の実態と課題を明らかにし、グローバル化が進展する日本社会 におけるその意義と可能性を探究することにある。 外国人学校とは、外国人あるいは外国籍の子どもたちを教育するため、あるいは多様な背景をもつ子どもたちに国際的あるいは民族 的な教育を施すために設立されたもので、日本の学校制度上に正規の位置づけをもつものの一部あるが、多くは各種学校あるいは私塾 としてのステータスをもつにとどまっている。 2年間の助成期間の二年度めにあたる本年度は、日本に存在する外国人学校のなかから、「インタナショナル・スクール」「中華 系学校」「コリア系学校」「ブラジル人学校」の4タイプを対象として設定し、それぞれ数校の協力を得たうえで、昨年度に引き続き第二段階の聞き取り調査を実施した。具体的には、学校経営者あるいは管理職を対象に、教育方針・経営状態・カリキュラムの特色・入学 者の属性・具体的な進路先に関して1~数回にわたるインタビュー調査を実施した。また可能な場合には、授業見学や行事への参加と いった活動にも従事した。 その結果浮かび上がってきたのは、外国人学校の多様化という実態であった。たとえば、かつては「民族教育」を施す機関として見られていた中華系や韓国系の学校でも、グローバル化を見据えて英語教育が重視されるという新たな傾向が見いだされた。また、各タ イプの学校に、「ふつう」の日本人が入学する傾向が強まっているという新しいトレンドを発見することもできた。その制度的位置づ けは不安定で、経営状態も概してきびしい状態にさらされているが、外国人学校にはさまざまな住民の、多種多様な教育ニーズが反映 されているという現状を明らかにすることができた。
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