2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23653296
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小原 友行 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80127927)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | NIE学 / NIEカリキュラム / NIE学習材 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本研究は,「NIE学」独自の研究方法論の解明と日本型NIE学習の理論化を図るという研究目的を実現するために,具体的には次の3点について研究を行う。第1に,日本国内の優れたNIE実践家を訪問して聞き取り調査を行い,資料の発掘・収集を行うこと。第2に,NIE先進地域といわれている北米,ヨーロッパ,北欧の諸国を訪問し,関係者へのインタビューを行うとともに,カリキュラム等を収集すること。第3に,収集した資料の分析とそれらの国際比較を行い,そのことを通して,日本型NIE独自の理論の抽出と「NIE学」の研究方法論の解明を行うこと。 そのために,平成23年度の研究では,次のような計画・方法で研究を実施した。(1)これまでの先行研究を整理するとともに,実地調査の計画(調査対象者,調査項目,調査日等)を立案した。(2)青森市で開催されたNIE全国大会や鳴門市で開催された日本NIE学会研究大会に出席し,優れたNIE実践家からの聞き取り調査を行うとともに,資料収集を行った。(3)NIE先進地であるアメリカ合衆国のノースカロライナ州グリーンビル市,ワシントンDC,ニューヨーク市の新聞協会や新聞社のNIE関係者を訪問し,聞き取り調査を行うとともに,カリキュラム等の資料収集を行った。(4)国内およびアメリカ合衆国での調査内容を目標,カリキュラム・単元,学習方法の観点から整理した。(5)調査内容に基づき,日本とアメリカ合衆国のNIEに関する国際比較を行うことを通して日本型NIEの特質を抽出し,学習会等で報告した。(6)平成23年度の研究成果をまとめ,日本NIE学会等の学会で研究発表を行うとともに,機関誌に論文を掲載した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では,予算規模の縮小等もあり,調査対象の北米地域の中のアメリカ合衆国のみの調査にとどまった。また,優れた実践家からの聞き取り調査も,東日本大震災の影響もあり,限られた範囲にとどまった。 しかし,日本とアメリカ合衆国の比較を通して日本型NIEの質的な特質を解明することはできた。また,優れたNIE実践家からの聞き取り調査によって,日本型NIEの実践研究の方法論を解明することもできた。 その点では,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては,次の3点を重視していきたい。(1)日本と異なり,諸外国の場合は学会や研究会といった組織がないため,新聞協会や個別の新聞社の教員ネットワークと連携しながら,諸外国のNIEの実態と課題,ユニークな研究方法論などを明らかにしていく。(2)日本の優れたNIE実践家からの聞き取り調査においては,実践家の問題解決過程の中でどのように自身のNIEの理論や実践を構築してきたのかを中心に解明していく。(3)このような国際比較や実践家分析を通して,日本独自のNIEに関する研究方法論を構築していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究は,平成23年度の研究成果を踏まえ,次のような計画・方法で実施し研究費を使用する。(1)福井市で開催されるNIE全国大会および秋田市で開催される日本NIE学会研究大会に出席し,優れたNIE実践家からの聞き取り調査を継続実施するとともに,資料収集を行う。そのための国内旅費として研究費を使用する。(2)NIE先進地であるヨーロッパ(特に英国)の関係者を訪問し,聞き取り調査を行うとともに,カリキュラム等の資料収集を行う。そのための外国出張旅費として研究費を使用する。(3)実地調査によって収集できたNIE関係資料を,目標,カリキュラム・単元,学習方法の観点から整理し,データーベース化する。そのための消耗品代として研究費を使用する。(4)日本とヨーロッパ諸国のNIEに関する国際比較を行う。研究費の支出なし。(5)平成24年度の研究成果をまとめ,日本NIE学会等で発表する。そのための国内旅費として研究費を使用する。
|