2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23654045
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 玄 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任教授 (50118535)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | レーリー波 / 角 / 反射・屈折係数 / 高周波漸近展開 |
Research Abstract |
本研究の目的は、長年の未解決問題であるRayleigh波の弾性体の角における反射屈折について研究することである。即ち、弾性体の自由境界を伝搬するRayleigh 波を高周波の振動或いは特異性伝播として捉え、超局所解析を用いてこの特異性が、弾性体の角でどの様に反射・屈折し、その一部が弾性体内部に特異性を放射するかについて研究することである。平成23年度の研究計画では、この研究に必要な関連先行結果であるV. Kamotski-G. Lebeauの論文(2006年)について詳細な検討を行うことを計画した。即ち、2次元等方均質弾性体が角領域をなす場合に、彼らが構成した定常問題に対する外向きGreen 関数の構成法、その特性即ちその角以外の所での高周波漸近展開式、そしてこの漸近展開を用いてRayleigh 波の角における反射係数と屈折係数を求め、既存の工学者による数値計算結果と比較することによりこれらの係数の正当性・有効性を検証することである。平成23年度に実施した研究により、V. Kamotski-G. Lebeauの外向きGreen関数構成法とその特性については十分な知見が得られた。しかしその知見を用いてRayleigh 波の角における反射係数と屈折係数を求め、既存の工学者による数値計算結果と比較する所まで、研究は進展させる時間はなかった。このような既存結果との比較を行うことは、研究の意味を考える上で重要であるが、単なる理論研究とは違う側面を持つことも事実である。即ち、どの程度の高周波数域で数学で得られる定性的な反射・屈折係数と工学で知られている定量的な定性的な反射・屈折係数が符合するかという問題だからである。また、それを実際に実行するには数式処理、数値計算プログラムを作成する必要があり、かなり時間がかかるという問題もあり、実行に至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画を完全には実施することは出来なかったが、この研究計画全体から見た重要な最初のステップが十分に達成できたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
まず平成23年度に達成できなかったRayleigh 波の角における反射係数と屈折係数を求め、既存の工学者による数値計算結果と比較する。これは数式処理と数値計算プログラムの作成に時間がかかるので、その作成にはポストドクに謝金を払って行う。謝金は、平成23年度の未使用額を当てる。その結果得られる成果を研究発表する予定である。前年度に得られた知見をもとにして、解析的曲線がなす弾性体の角でRayleigh 波がどのように散乱されるかについて研究する。連携研究者の川下氏と、解析的曲線がなす角における音波の散乱について論じたO. Lafitteの論文(2002年)を徹底的に解読する。そしてこれを我々の研究目的であるRayleigh波の角における散乱に適用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度未使用額発生理由は、当該年度に予定していたポストドクに謝金を払って行う数式処理と数値計算プログラムを用いたRayleigh波の角における反射係数・屈折係数の計算の研究が実施できなかったことによる。24年度ではこの実行できなかった研究を実施し、その為に23年度未使用額を使用する。
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