2012 Fiscal Year Annual Research Report
短ミリ波帯アンテナ鏡面パネルのコストダウン研究 ー事象の地平線観測に向けて
Project/Area Number |
23654071
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
三好 真 国立天文台, 電波研究部, 助教 (50270450)
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Keywords | 電波天文学 / 一般相対論 / ミリ波・サブミリ波アンテナ / へら絞り法 / 面精度測定 / コストダウン / ブラックホール |
Research Abstract |
本研究の最終目標は「ブラックホ-ルの事象の地平線の観測」にある。既存のVLBI 観測では困難であり, 新たな観測局が必要である。装置のコストダウンによる早期実現をめざしている。ミリ波・サブミリ波アンテナでは高い面精度のパネルが必要であり, これがネックとなっていた。「へら絞り法」に着目した。高精度アンテナ・パネル (面精度 100 ミクロン以下) を実現できるならば、その加工費は安価であるので高精度アンテナ・パネルのコストダウンが実現する。「へら絞り法」での面精度を何が決めているのかを調べた。 既存の金型を用い、2枚のアンテナ面を制作、面の形状を比較し、再現性を調べた。口径1.8mの既存金型を用い、2m四方の厚み3ミリのアルミ板を素材として口径1.8mのパラボラ面を作成した。金型は20年以上前のものであり、鉄製のため所々さびから面にはくぼみも見受けられる。クリスタル光学の、東洋最大の三次元測定器により、面精度を測定した。4センチ間隔、1604点の実測に6時間、準備に半日を要し、2枚の面測定は3日かかった。2枚の形状は非常に似ている。全体では250μrmsであるが、半径によっては70μrmsを示す部分もある。この特徴は金型の特徴と一致している。 「へら絞り法」は職人による手作業である。その再現性は非常に高い。面精度は金型に強く依存している。既存の小型金型を用いて製作した小アンテナでは全面で60ミクロンrms精度が達成されており、部分的には十数ミクロンrmsの部分も存在する。 金型を精度良く形成すれば、へら絞り法によって精度の良いアンテナ面が形成されることが明らかになった。また、その形状は2年間のうちには悪化せず、加工時の面精度を維持していることも確認した。ただ、アンテナ面自体は自重と外圧によって容易に変形しうるので、実際の利用においては、アンテナ面支持機構を作り込む必要がある。
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Research Products
(8 results)