2011 Fiscal Year Research-status Report
微小重力下の磁気誘導運動に基づく単一粒子の磁化およびその異方性の検出
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23654123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 千秋 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50176591)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 磁化測定 / 微小重力 / 室内型μG発生装置 / 磁場勾配力 / 並進運動 / 微小試料 / フェライト |
Research Abstract |
本研究は、微小重力(μG)を利用して希薄媒体中に浮遊させた微小な単一粒子に、磁場勾配力による並進運動を誘導し、その観測から物質固有の磁化Mを得る。既存の測定法では、試料サイズの減少とともにホルダーの妨害信号の比率が増加し、さらに試料質量mの計測が困難となるため、μmサイズの粒子の磁化を得ることは難しかった。本研究では速度v(x)と磁場B(x)の関係から、上記運動の速度が質量に依存せずMのみに依存することを検証する。これにより上記運動で期待されるエネルギー保存則を確認する。初年度はFe3O4,Fe,Niおよびフェライトなど、自発磁化を有する基本的な物質で運動のm非依存性を確認した。さらに多種類の反磁性体でも、並進運動が上記の保存則を満たすことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
23年度の研究計画欄に記した項目、即ち1)持続時間0.6秒を想定した簡易型μG発生装置の改良 2)並進運動の軌道をコントロールのための磁場分布設計、4) 粒子ホルダーの設計・製作 5) 装置の組み立てを、予定どおり達成した。これを用いてFe3O4,FeおよびNi粒子に関する測定を実施し、文献値どおりの飽和磁化を得、m非依存性も確認できた。本年度は、当初、主として上記の自発磁化・物質を中心に測定を実施する予定であったが、装置が早期に完成したため、ポリエチレン、ポリエステルなど多数の反磁性・有機物質についても並進運動の測定が実現した。上記1)では当初計画に記載されていなかった2重カプセルを導入することで、μG環境の残留Gのレベルを1桁下げることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)帯電除去システムの開発 これまでの実験で、粒子開放時の挙動を観察した結果、粒子の初速度の方向には有意の分散がみられた。その主要な原因として、粒子同士の衝突、および帯電による斥力の2つの原因が挙げられる。前者については、個々の粒子を分離して試料台にセットすることで分散が抑制できることが確認ずみである。本研究では、サブミリサイズの粒子を分離した状態で、効率的にセットするシステムを開発する。本研究では、この作業をサブミリ粒子に拡張し、最適な帯電除去法を確立する。2)光学光顕微鏡の導入 HVカメラによる10μmレベルの観測が完了した時点で,光学顕微鏡によるnmサイズの観察のための装置を製作する。この目的のため簡易型落下装置の衝撃に顕微鏡が耐えられるための緩衝装置を開発する。これまでのμG実験の報告によると、高さ150cmの落下を想定した場合、落下衝撃による光学顕微鏡の破損は問題にならないと考えられる。顕微鏡ステージに組み込むための磁場勾配発生システムを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の未使用額について:前項の装置開発には平成23年度に採択された、回転振動に基づく磁気異方性計測を目的とする別予算を当てることができた。このため、当初の計画を変更して、本研究費の予算を人件費のみに当てることとした。本年度未使用分は、来年度、人件費および試料成形に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)