2012 Fiscal Year Research-status Report
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23654125
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
鈴木 博之 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (60354370)
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Keywords | 金属絶縁体転移 / 電界効果 |
Research Abstract |
これまでにEuOの純良な単結晶育成に成功してきている。2年目は、EuOの単結晶育成とサンプルのキャラクタリゼーションとともに、電界効果の実験を行った。電界効果に対しては、電界効果において最も問題となる表面状態と、電極に対して試行錯誤を行った。NaCl構造をとるEuOは(100)面で劈開するが、この劈開面をそのまま利用する方法と、その劈開面を更に研磨する方法を試した。また、電極については、金電極蒸着を行う方法と、直接、針電極をサンプル表面に付ける方法などで実験を行った。 結果としては、壁回面を利用し簡易的な針電極を用いたプローブを用いた方法で、電界効果によるp型の増幅効果を観測することに成功した。今の所、イオン液体からの漏電を避けるために、イオン液体の部分とドレイン・ソース電極を十分に引き離した距離をとっているために、印加した電界に対する増幅効果の効率は30%程度である。現在、サンプル面上に電極端子や絶縁層を作成し、イオン液体による電界効果の効率を上げる配置を作成していくことにより増幅効果の改善を図っているところである。また、そのためにはEuO単結晶劈開面の良好な劈開面状態が必要となるが、更なる良質な表面を得るために引き続き単結晶育成を引き続き行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電界効果による増幅効果が観測されたことは、本課題の最大の難所の一つをクリアしたことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
電界効果による増幅効果が観測されたものの、未だその効率は低い。この点の改善とともに、電界効果による物性の変化を観測することが今後の最大の課題である。 増幅効果改善や物性測定のために、サンプル表面上の電極端子や絶縁層の作成を行っていく。また研磨面より劈開面の方が良好な結果が得られているが、これまでの試行錯誤によって得られた知見を元に、電界効果に適切な良好な劈開面の表面状態を得るような単結晶育成を引き続き行う。単結晶育成時の仕込み濃度を変えることによる、ホール濃度を変化させたサンプル作成も同時に行う。 加えて今年度は、更に電界効果による物性変化を測定していくために、電界をかけた状態での物性測定や磁化測定に向けて、カンタムデザイン社のPPMS物性測定装置とMPMS測定装置の、それぞれに対応する測定プローブを開発する予定である。 これらの結果については、今年度中の物理学会での発表を目指す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電場をかけた状態での物性・磁性測定用のプローブ開発や測定機器の購入を行う。測定機器については高額となり、単年度の配分額では不足となるので昨年度から持ち越している。 結果の発表としての学会参加の旅費等に使用する。 その他に原料購入に使用する予定。
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