2013 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙線による雲核生成と気候への影響に関する検証実験
Project/Area Number |
23654166
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
増田 公明 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40173744)
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Keywords | 宇宙線 / 雲核生成 / 太陽活動 / 地球気候 / 大気電離 / エアロゾル |
Research Abstract |
本研究において,宇宙線と大気の反応を室内実験で再現するために,混合気体を入れる密閉可能な反応容器,人工空気に微量気体を精度よく混合して疑似大気を生成するガス純化混合装置,反応容器内に生成したイオンの密度を測定するイオン検出器やエアロゾル粒子計数器などの測定器から成る大気反応測定装置を整備した。この装置を用いて,大気微量成分として二酸化硫黄(SO2),水蒸気,オゾンを加えることにより,SO2が酸素及び水と反応して硫酸エアロゾルを形成,オゾンが紫外線照射により活性酸素を生成して硫酸分子の生成に寄与,水分子がOH基の供給源であるとともに,硫酸分子と結合してクラスターを成長させ,エアロゾル粒子や雲核を生成する過程を調べた。 平成23年度は実験室におけるベータ線源による試験測定を行い,種々の大気条件の下でエアロゾル生成率の紫外線照射と放射線照射の有無による違いから,実際の大気環境に近い状況でイオン密度の増加に伴ってエアロゾル密度が増加することと,高イオン密度でエアロゾル生成が飽和傾向を示すことを明らかにした。平成24年度は,大気中の二次宇宙線に様々な種類の粒子が含まれることに留意して,入射放射線の種類の違いによる影響を調べるための加速器実験の準備を行った。そして平成25年度(最終年度)に,加速器粒子による異なる電離能力を持った放射線を照射して,粒子生成の違いを検証するために放射線医学総合研究所の重イオン加速器(HIMAC)において重イオンビームを照射して,ビーム強度に対する生成イオン密度やエアロゾル粒子密度の測定に成功した。また粒径分布測定器を導入してその測定にも成功した。これらの結果により,今後の加速器粒子をはじめとする種々の実験のための装置の整備と基礎測定をほぼ完了し,今後の本格的な実験の遂行が可能となった。
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Research Products
(4 results)