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2013 Fiscal Year Research-status Report

質量分析による化石タンパク質の一次構造解析

Research Project

Project/Area Number 23654177
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

遠藤 一佳  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80251411)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 高尾 敏文  大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (10197048)
Keywords化石タンパク質 / 腕足動物 / バイオミネラリゼーション / 分子古生物学 / 結晶内タンパク質 / 殻体基質タンパク質
Research Abstract

今年度は、化石タンパク質の同定に必要な現生種の殻体タンパク質のプロテオーム解析およびトランスクリプトーム解析を行った。研究対象として、房総半島の第四系から化石が連続的に産出するLaqueus rubellusとCoptothyris grayiの現生標本を用いた。Laqueus rubellusに関しては、発現量の大きい18種と発現量の小さい13種の合計31種の殻体タンパク質を同定し、これらのうちICP-1を除くすべてのタンパク質がこれまでに報告のない新規タンパク質であることを明らかにした。また、Coptothyris grayiについては、外套膜のトランスクリプトーム解析によりLaqueus rubellusと相同の殻体タンパク質が4種含まれることが分かった。これらの配列の中には、バイオミネラル中のタンパク質によく見られる繰り返し構造を持つものが含まれるほか、細胞膜にアンカーするためのドメインを持つものなどこれまでにバイオミネラル中から見られなかったものも含まれており、バイオミネラリゼーションのメカニズムを考察する上で非常に興味深い。また、軟体動物の貝殻タンパク質と相同なものが一つも見られないことから、軟体動物と腕足動物が独立に殻体を進化させたことを裏付ける証拠も得られた。さらに、これらの現生種の殻体タンパク質の配列は、今後化石タンパク質の配列を決定する上で必要不可欠な情報であり、今後これらの配列を用いて化石タンパク質のアミノ酸配列の決定に取り組む。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究は、化石タンパク質のアミノ酸配列を決定し、そこから生物学的情報を得ることを目的としている。これまでに、実際に腕足動物の化石殻体の抽出物を用いて、質量分析計によるアミノ酸配列の決定を試みているが、まだ信頼に足る結果を得るに至っていない。その理由として、化石抽出物の濃縮を行っていなかったため、必要量のターゲット分子が得られていないことや、現生種のプロテームやトランスクリプトームとデータが得られていなかったことから、新規に(de novoで)アミノ酸配列を決定することがそもそも困難であったことなどが挙げられる。これらの理由から本年度の交付申請書に記載した本研究の「研究の目的」の達成度は、「やや遅れている」に区分されると判断される。

Strategy for Future Research Activity

今後は、研究の目的を達成すべく、化石タンパク質の分析に取り組む。まず、ターゲットとなるペプチドを分析に必要な量得るために、化石からの抽出物の濃縮を試みる。さらに、今回得られた現生種のプロテオーム、トランスクリプトームのデータを基に、それぞれの殻体タンパク質(Laqueus rubellusでは31種、Coptothyris grayiでは4種)について、アミノ酸配列にわずかの変異をランダムに持たせた仮想的な祖先配列のデータベースを作成し、それらの配列を用いて化石タンパク質の同定を試みる予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究の進行が当初計画からやや遅れており、化石タンパク質の分析を行うことができなかったため次年度使用額が生じた。
化石タンパク質の分析を行うための物品費(主に分析用試薬代)および成果公表のための旅費として使用する計画である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2014 2013 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Brachiopod shell spiral deviations (SSD): Implications for trace element proxies.2014

    • Author(s)
      Alberto Perez-Huerta, Anthony E. Aldridge, Kazuyoshi Endo, Teresa E. Jeffries
    • Journal Title

      Chemical Geology

      Volume: 374-375 Pages: 13-24

    • DOI

      10.1016/j.chemgeo.2014.03.002

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Annotation of the pearl oyster genome.2013

    • Author(s)
      Endo, K. and Takeuchi, T.
    • Journal Title

      Zoological Science

      Volume: 30 Pages: 779-780

    • DOI

      doi: 10.2108/zsj.30.779

  • [Journal Article] The diversity of shell matrix proteins: genome-wide investigation of the pearl oyster Pinctada fucata.2013

    • Author(s)
      H. Miyamoto, H. Endo, N. Hashimoto, K. Iimura, Y. Isowa, S. Kinoshita, T. Kotaki, T. Masaoka, T. Miki, S. Nakayama, C. Nogawa, A. Notazawa, F. Ohmori, I. Sarashina, M. Suzuki, R. Takagi, J. Takahashi, T. Takeuchi, N. Yokoo, N. Satoh, H. Toyohara, T. Miyashita, H. Wada, T. Samata, K. Endo and 3 others
    • Journal Title

      Zoological Science

      Volume: 30 Pages: 801-816

    • DOI

      doi: 10.2108/zsj.30.801

  • [Presentation] 古代ゲノム学:研究史と今後の展開

    • Author(s)
      遠藤一佳
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合大会
    • Place of Presentation
      幕張メッセ、千葉県

URL: 

Published: 2015-05-28  

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