2012 Fiscal Year Annual Research Report
正負イオン衝突による再結合反応を用いた、星間塵の生成に関する実験的研究
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23654195
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岩本 賢一 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00295734)
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Keywords | 再結合反応 / イオン分子反応 / 低温反応 / 移動管 / 質量分析 |
Research Abstract |
星間物質の組成や存在量などの情報は分光観測によって得られている。多くの観測結果から、星間物質は気相中に存在する星間分子と星間塵に大きく分けられる。星間塵は無機物質や多環芳香族炭化水素(PAH)などで構成されていると考えられているが、観測結果と実験室で得られたPAHの吸収スペクトルは必ずしも一致していない。星間空間のような低温領域でのPAHの生成過程が明らかにされていないことから、単一の物質ではなく、種々の構造を有していると考えられる。PAHの生成過程のひとつとして、正負イオンの再結合反応は星間塵の生成過程として重要であると考えられるが、イオン分子反応や原子ラジカル反応の研究に比べて、その報告例は非常に少ない。 研究成果として、正/負イオンを長時間蓄積でき、移動管の両端から打ち込む新たな装置を考案した。従来の移動管は、イオン蓄積時にイオンが拡散してしまうため、衝突効率が非常に低下する問題点があった。今回、イオンの発散を抑えた移動管を新たに考案した。イオンの広がりはイオン軌道シミュレーション(SIMION(SDSコード利用))により、従来の移動管の1/10程度となった。また、大気圧下で負イオンを生成するために、バリア放電型イオン源を自作した。イオン化部の表面温度が室温程度であることから、励起や解離を伴わないイオン源となった。 高分解能飛行時間型質量分析型(TOF-MS)質量分析計との接続を行っており、生成物の測定精度を向上させた、正/負イオン再結合反応を観測するための新しい装置技術を確立した。
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Research Products
(4 results)