2011 Fiscal Year Research-status Report
液中プラズマを用いた炭素系膜の成膜・改質反応の実時間計測による解明
Project/Area Number |
23654203
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 正典 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80346931)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 液中プラズマ / 多重内部反射赤外分光 / 「その場・実時間」計測 / 反応 / 膜堆積 |
Research Abstract |
これまで液中プラズマは材料合成や滅菌・殺菌をはじめ様々な分野での応用が期待されてきたが、気相のプラズマあるいはプラズマを使わない化学的手法に勝るまでには至っていない。液中プラズマは反応系の理解が十ではないことが深刻な要因の一つである。本研究では,多重内部反射赤外吸収分光法を用いた反応の「その場」「実時間」計測により、液中プラズマに特有な反応化学を解明することを目的とした。 第1に,多重内部反射赤外吸収分光法用の光学系を備えた測定装置の構築を行った。半導体プリズムの両方の端面のみを液から出した形で、他の部分のプリズムを液中に浸した状態になるようなシールつきの容器を作製した。さらに、プリズムが固定された容器も固定して、赤外光を集光してプリズムを入射し、サンプルから出てきた赤外光を検出器に再び集光する光学系を構築した。 第2に,発光分光装置およびプラズマが生成する際の電流電圧特性を測定する測定系の構築を行った。プラズマを生成した際の電極間の電流-電圧特性を調べた。その結果,バリア放電がおこり,数秒ごとにアーク放電がおこっていると考えられた。発光分光法によりプラズマを調べた結果,水素ラジカルなどの発生が観察できた。 第3に,液中プラズマ中で多重内部反射赤外吸収分光法を用いた反応を「その場」・「実時間」計測を試した。液体には,膜ができやすいことをすでに報告しているケイ酸エチル(TEOS)を4倍にエタノールで希釈した溶液を用いた。赤外分光により計測を行った結果,プラズマの照射により溶液中の炭素―水素の結合が分解されていく様子を「その場」「実時間」で計測することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「その場」「実時間」での計測法の開発において,その端緒がつかめた。液中プラズマの反応計測の今後の発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
赤外分光法と,発光分光法・電流-電圧特性の同時測定が可能になる大型の測定系を構築する。さらに溶液の状態が変化しないように,常に新鮮な溶液を供給する装置を取り付ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プリズムを液中に浸すシールつきの大型容器の作製費および,プラズマへ供給する安定した電源,測定に用いるテスター等に支出する予定である。
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Research Products
(10 results)