2013 Fiscal Year Annual Research Report
液中プラズマを用いた炭素系膜の成膜・改質反応の実時間計測による解明
Project/Area Number |
23654203
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 正典 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80346931)
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Keywords | 液中プラズマ / 実時間計測 / 膜堆積 / 炭素系膜 / 表面改質 / バイオ応用 |
Research Abstract |
これまで液中プラズマは材料合成や滅菌・殺菌をはじめ様々な分野での応用が期待されてきたが、気相のプラズマあるいはプラズマを使わない化学的手法に勝るまでには至っていない。しかし、これまでの方法では反応前と反応後の様子を調べているものであるため、液中プラズマでの反応プロセスの詳細について推測するしかなかった。そこで,本研究では,多重内部反射赤外吸収分光法を用いた液中プラズマの反応,液中での固体表面の反応を「その場」「実時間」計測システムを構築し,これを用いて液中プラズマに特有な反応化学を解明することを目的とする。 この研究の推進により,多重内部反射赤外吸収分光法用の光学系を備えた測定装置が構築できた。また,発光分光およびプラズマが生成する際の電流電圧特性を測定する測定系も構築できた。その結果,エタノール中でプラズマを生成し,その反応プロセスを「その場」・「実時間」計測できた。さらに,TEOSとエタノールの混合溶液中でプラズマを生成し,酸化ケイ素を含んだ炭素膜堆積過程およびその混合溶液の変化について計測できた。その他,様々な膜への液中プラズマの照射及びその効果について検討を加えた。さらに,表面改質・バイオ応用を見据え,この計測系で,原子・分子レベルでの液中プラズマとバイオ分子との反応解析を行った。バイオモデル物質となる化学物質と液中プラズマの反応が解析できた。液中プラズマにより,膜中の炭素-炭素結合は酸化されながら,エッチングされることがわかった。本研究により,多重内部反射赤外吸収分光法により液中プラズマの反応プロセスの計測および膜の堆積,さらにはその応用に位置づけられる液中プラズマのバイオ応用の解明に貢献できた。 本研究は,今後の液中プラズマによる反応診断には欠かせない計測ツールとなる可能性を示唆でき,挑戦的萌芽研究にふさわしいこれまにない研究成果を得られた。
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Research Products
(11 results)