2012 Fiscal Year Annual Research Report
紫外共鳴ラマン分光法を用いた生細胞中タンパク質の選択的観測法の開発
Project/Area Number |
23655012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水谷 泰久 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60270469)
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Keywords | 共鳴ラマン分光法 / in-vivo測定 / タンパク質構造 |
Research Abstract |
1.高い生産効率をもつベクターを活用した培養細胞の調製 生細胞中のタンパク質の濃度を上げることができれば、そのスペクトルを観測しやすくなる。コールドショック遺伝子を利用しタンパク質発現システムを用いることによって、宿主細胞由来タンパク質の合成を抑制し、目的タンパク質のみを高効率で得ることを試みた。しかし、効率の大幅な向上はみられず、大腸菌におけるクローニングおよび組換えタンパク質発現用として広く用いられているpETベクターの方が有利であると判断されたので、これを用いて生細胞の紫外共鳴ラマンスペクトル測定を行うことにした。 2.生細胞の紫外共鳴ラマンスペクトル測定:発現量依存性 プラスミドによって発現したタンパク質が紫外共鳴ラマンスペクトルに観測されているかどうかを調べるために、発現誘導後の大腸菌のスペクトルを観測した。発現誘導後、1時間おきに紫外共鳴ラマンスペクトルを測定したところ、ラマンバンドの相対強度に変化が観測された。これは、プラスミドによって大腸菌内で目的タンパク質が発現し、大腸菌自体の核DNAによって発現したタンパク質との相対強度が変化したためだと考えられる。 3.生細胞の紫外共鳴ラマンスペクトル測定:発現タンパク質依存性 プラスミドに導入する外来遺伝子を変え、大腸菌中で過剰発現するタンパク質を変化させた。具体的には、ミオグロビン、イエロープロテイン、緑色蛍光タンパク質(GFP)の3種類を試した。これらが発現した大腸菌の紫外共鳴ラマンスペクトルを比較したところ、ラマンバンドの相対強度に違いが観測された。これは、大腸菌試料の紫外共鳴ラマンスペクトルに外来遺伝子由来のタンパク質の寄与が含まれていることを示している。 以上の確認実験から、生細胞中に含まれるタンパク質の紫外共鳴ラマンスペクトル測定法の基礎を作ることができた。
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Research Products
(1 results)