2013 Fiscal Year Annual Research Report
新しい水素結合ネットワーク素材としての縮環マロナミド:次元制御構造構築とその応用
Project/Area Number |
23655024
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
河合 英敏 東京理科大学, 理学部, 准教授 (50322798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 孝紀 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70202132)
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Keywords | 水素結合 / アミド / 結晶構造 / 次元制御 / 自己集合 / 超分子 / 粉末X線構造解析 / ナノチューブ |
Research Abstract |
本研究では、非常に単純な化合物である2,2-インダンジカルボキサミド誘導体が水素結合形成により強固な2次元シート構造へと集合することを利用し、その構造修飾に基づく0~3次元までの多様な構造の次元制御とその応用を目的として研究を行った。 25年度においては、①先に構築した3次元的な格子構造の多様性を広げる目的でパイスペーサーの両端にカルボキサミド構造を有する誘導体合成を検討した。ペリレンやジフェニルアントラセンを有する前駆体を合成した。 ②嵩高いトリプチセン骨格を縮環することで2次元シートがまるまったチューブ構造の構築が可能ではないかと考え、昨年度までに合成してきたトリプチセン縮環マロナミド誘導体の集合体形成能を詳細に調査した。細いファイバー構造を形成することを見出していた無置換体において粉末X線構造解析から、その結晶構造とその水素結合様式を明らかにすることに成功した。母体化合物と同様、1分子あたり8本の水素結合が形成されながら2分子×2を構成単位とした目的としたチューブ構造が形成されていることを明らかにした。 ③研究②と関連し、アルコキシ基を導入したキラルトリプチセン縮環マロナミドの集合体形成能を調査した。ラセミ体においてねじれたらせん状1次元ファイバー構造が形成されるとともに、光学分割した光学活性体においてもらせん構造を形成することをSEMおよびAFMにより確認した。 本研究において、インダンジカルボキサミドをはじめとする縮環マロナミド構造が、多様な誘導体において規則正しい水素結合ネットワークを形成することを明らかにするとともに、分子骨格の修飾により、チューブ構造、シート構造、格子構造といった次元制御された集合体形成能へと誘導可能であることを明らかにした。今後、この新奇水素結合モチーフをもとにした応用研究や配座キラリティーの導入による次元制御構造の構築を検討していきたい。
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Research Products
(6 results)