2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23655033
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50281100)
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Keywords | ピラジン / アミノ化 / 酸化 / 遷移金属触媒 / ラジカル / ポルフィリン / アセン / ヘリセン |
Research Abstract |
前年度発見したアミノアントラセンの酸化によるピラジン環およびピロール環形成反応について詳しく検討した。その結果、アミノアントラセンをDDQによって酸化する際に、エタノールの添加するとピロール環によってアントラセンが縮環した二量体が収率よく生成することを見いだした。X線構造解析の結果、この化合物はヘリセン構造をもつことが分かった。さらに、この化合物の螺旋構造に基づく光学異性体の分離に成功し、このヘリセンが安定なキラリティーをもつことを明らかにし、円偏光発光などらせんキラリティーに基づく物性を明らかにすることができた。 一方、ピラジン環形成反応については化合物のさらなる多量化による共役の拡張について検討した。一方に臭素を導入したアミノアントラセンを酸化すると収率よくピラジン架橋アントラセン二量体が得られた。さらに、末端の臭素をパラジウム触媒を用いるイミノ化反応を経てアミノ基へと変換した。これをさらに酸化したところ、比較的よい収率でピラジン架橋アントラセン四量体が得られることを見いだした。この化合物は12個のベンゼン環と3個のピラジン環を持つにもかかわらず空気中で高い安定性を示すことを明らかにした。また、ピラジン架橋アントラセン四量体のUV/vis吸収スペクトルおよび電気化学測定によって、パイ共役が有効に拡張していることを明らかにした。 さらに、酸化的ピラジン環形成の一般性を明らかにするため、アミノフェナントレンの酸化を試みた。その結果、ピラジン縮環体とピロール縮環体が低収率ながら生成した。酸の添加効果を検討したところ、ジクロロ酢酸を加えるとピロール縮環体の収率が大きく向上することが分かった。さらに、ピロール縮環体の構造解析に成功し、この化合物が大きくねじれたπ電子系をもつころを明らかにした。
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Research Products
(10 results)