2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23655095
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 大佑 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (60435625)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / 複合材料・物性 / 超撥水 |
Research Abstract |
本申請課題は、太陽電池パネルや自動車のフロントガラス等に用いられている超撥水表面の耐久性を革新的に向上させることを目的とする。超撥水表面は、平滑な表面では得られず、雨などの水滴よりも微細な表面凹凸構造によってもたらされる。しかし、微細構造の強度が低いく、接触破壊や劣化に伴う構造崩壊により、超撥水性の耐久性が悪いという難題がある。本研究では、高強度な素材から成る微細構造保護層と加工性に優れた柔軟な素材から成る超撥水微細構造層とが水滴よりも十分小さいナノ~サブマイクロスケールでハイブリッドした階層表面を作製し、高耐久性と超撥水性を併せもつ新規超撥水表面を創成し、超撥水表面の耐久性向上のための新原理を提案する。H23年度は超撥水階層構造作製プロセスの確立、超撥水階層構造の物性評価を予定していたが、東日本大震災の影響で研究室の運営停止、復旧作業のため実働的な実験開始が遅れ、試料を作製することが困難であった。また、購入予定装置の購入も見合わせた影響もあり、今年度は超撥水表面の評価法に関する情報収集および現況で作製できる試料の作製にとどまった。環境の整った次年度以降は装置の購入、超撥水表面の評価等を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災後の研究室の運営停止、復旧作業のため実働的な実験開始が遅れ、試料を作製することが困難であった。また、購入予定装置の購入も見合わせた影響もあり、今年度は超撥水表面の評価法に関する情報収集および現況で作製できる試料の作製にとどまった。環境の整った次年度以降は装置の購入、超撥水表面の評価等を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 超撥水階層構造作製プロセスの確立 規則的なマイクロメートルスケールの空孔を有するポリスチレン系などの汎用高分子から成るハニカム状多孔質膜を出発材料とし、エポキシ系などの硬化な高分子水溶液に浸漬後に溶液を加熱し、孔内のぬれ性を変化させて一部の孔内に溶液を浸透させる。紫外線照射または加熱により孔内の高分子を硬化させた後、ハニカム膜を割く工程により、規則的な高分子柱状構造中に硬化した高分子がドーム状に分布している微細階層構造を得る。2. 超撥水階層構造の物性評価(表面ぬれ特性・耐摩耗特性) 上記1で作製した微細階層構造の超撥水性を自動接触角計で測定可能な静的接触角・動的接触角・転落角により評価する。また、本申請で購入予定の摩擦試験器により、ガラス基板、高分子フィルム、シリコンウェハ等に対する超撥水表面の耐摩耗性を評価する。鉛筆高度試験等の汎用評価も行うことで、多角的に耐久性の評価を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
超撥水表面の評価装置は、名古屋工業大学大型設備基盤センターの装置を使用できることになったため、昨年度に予定していた装置の購入は行わず、試料作製に必要な試薬および小型装置、研究打ち合わせの旅費に使用する。
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