2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23655095
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 大佑 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60435625)
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Keywords | 表面・界面物性 / 複合材料・物性 / 超撥水 / 微細構造 / 表面濡れ性 / 耐久性 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本申請課題は、太陽電池パネルや自動車のフロントガラス等に用いられている超撥水表面の耐久性を革新的に向上させることを目的とする。超撥水表面は、平滑な表面では得られず、雨などの水滴よりも微細な表面凹凸構造によってもたらされる。しかし、微細構造の 強度が低く、接触破壊や劣化に伴う構造崩壊により、超撥水性の耐久性が悪いという難題がある。本研究では、高強度な素材から成る微細構造保護層と加工性に優れた柔軟な素材から成る超撥水微細構造層とが水滴よりも十分小さいナノ~サブマイクロスケールでハイブリッドした階層表面を作製し、高耐久性と超撥水性を併せもつ新規超撥水表面を創成し、超撥水表面の耐久性向上のための新原理を提案する。 本年度は、規則的なマイクロメートルスケールの空孔を有するポリスチレン系などの汎用高分子から成るハニカム状多孔質膜を出発材料とし、エポキシ系などの硬化な高分子水溶液に浸漬後に溶液を加熱し、孔内のぬれ性を変化させて一部の孔内に溶液を浸透させ、紫外線照射または加熱により孔内の高分子を硬化させた後、ハニカム膜を割く工程により、規則的な高分子柱状構造中に硬化した高分子がドーム状に分布している微細階層構造を得た。得られた微細階層構造の超撥水性を自動接触角計で測定可能な静的接触角・動的接触角・転落角により評価した結果、転落角が5度以下で接触角が150度以上の超撥水性をしめした。次年度は、この表面の耐摩耗性を評価可能な装置を購入し、表面物性の耐久性についての評価を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室立ち上げにともない、装置の購入が遅れている。今年度は、本研究に適した表面物性の測定装置の購入を行い、これまでに作製した表面の物性評価に加え、新たに最適化した表面の作製およびその物性評価を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
超撥水階層構造の最適化 本年度は、規則的なマイクロメートルスケールの空孔を有するポリスチレン系ハニカム状多孔質膜を鋳型として、エポキシ系のエンジニアリングプラスチックのドーム状構造をもつ疎水性高分子ピラーアレイを作製でき、その物性評価(表面ぬれ特性・耐摩耗特性)を行った。 今後は、用いるエポキシ種をより強固な材料へと変えて、表面濡れ特性の耐久性の向上を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
名古屋工業大学大型設備基盤センターの装置を使用したことによる経費の削減ができたため、次年度は少額装置の購入を予定している。
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