2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23655206
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
川村 史朗 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (80448092)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フラックス法 / 単結晶 / 窒化物 |
Research Abstract |
遷移金属窒化物のフラックス合成に向けて、低融点金属フラックス探索を行った。その結果、Pb,Ni系が有力な候補となり得ることが判明した。 また合成のターゲットとする窒化物をW-N系、Re-N系、C-N系とした。 したがって、W-Pb系合金、W-Ni系合金、C-Ni系合金、Re-Ni系合金融液に対して、数千気圧の窒素圧力を印加して窒素を溶解させた。その結果、目的とする窒化物合成には至らなかったものの、数千気圧以上の窒素圧力を印加することで、全ての合金融液が1,650℃という高温まで一切の蒸発・気化を起こすことなく実験可能であることが判明した。この結果は、今後フラックス組成の選択肢を広げることが可能であることを示唆したものであり、Pb系,Ni系に限らず広くフラックス組成を調査することが可能である。また、目的とする窒化物合成に至らなかった原因として、合成に用いた温度が高すぎたために、フラックスに対する目的物質の溶解度が、液中に溶け込んだ窒素溶解量を上回ったためと推察するに至った。当該年度のこれらの結果を踏まえて、Ga系、Bi系などの低融点金属フラックスもフラックスの候補としながら、合成温度をこれまでよりも低くすることで最適条件を見つけだすという今後の窒化物合成の指針を得ることができた。また、印加可能な窒素圧力も、これまでの数千気圧から1万気圧程度まで上昇させる目処がついたため、液中に溶解させる窒素量を増加可能という指針を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低融点金属フラックス探索に一定の目処が立ったため。今後、実験回数を増やすことが可能となったため。実験可能な窒素圧力のさらなる上昇が可能であることが判明したため。
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Strategy for Future Research Activity |
遷移金属窒化物合成にあたって、これまでよりも実験温度を低下させた方が良いという結果を得たが、これはハンドリング上のメリットがある半面、フラックス選択の余地を狭めるというデメリットを併せ持つ。しかし、数千気圧以上の高圧下では、蒸気圧の高い金属でも1,000℃程度ではほとんど蒸発・気化が起こらないことが判明したために、Na等の非常に融点は低い一方で蒸気圧が高い元素でも添加可能であることが分かった。今後はこれらの元素を添加することで、他成分系のフラックスまでをフラックス探索の調査対象とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遷移金属窒化物の合金融液に対して耐食性の高い、・超硬合金製坩堝や、・窒化タングステン坩堝等に経費を多くを費やす予定である。
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Research Products
(2 results)