2012 Fiscal Year Research-status Report
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23655206
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
川村 史朗 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (80448092)
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Keywords | フラックス法 / 超高圧 / 窒素 / 窒化物 / HIP / 熱間等方圧加圧 |
Research Abstract |
金属フラックス中に高圧窒素ガスを溶解させることで、窒化物を液相合成するという試みにおいて、平成24年度は平成23年度に引き続き、窒化タングステン結晶合成をおこなった。 鉛-タングステンの合金融液中に、超高圧の窒素ガスを溶解させた結果、1,200℃程度で窒化タングステン粉末が生成可能であることを確認した。燃焼型の元素分析装置によって結晶の成分を調査した結果、窒化タングステン結晶中に酸素の混入が確認された。また、X線回折測定からも、生成物中の不純物に起因すると思われるピークが多数確認され、合成物の純度に課題があることが判明した。 平成24年度の後半は、上述の純度の問題を解決するために、新型炉の立ち上げを行った。 新型炉では、熱間等方圧加圧(HIP)装置を原型として、反応部に常に1,000atmの高純度窒素ガスを供給可能なシステムを採用した。超高圧窒素ガス装置中に微量の高純度窒素ガスをマスフロー供給するという新規のアイディアを実現すべく、装置からの排出ガスと導入ガスの流量コントロールを正確に行う調整を精力的に行った。 現在も装置の立ち上げ作業が継続している段階であるが、平成24年度中に、導入ガスと排出ガスの流量調整を、相互にフィードバックをかけることで精密制御するシステムまで完成させるに至った。 本システムの完成に目途が立ったことで、窒化タングステンをはじめとする、様々な遷移金属窒化物等の次世代窒化物の液相合成に着手出来る見通しが立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本手法によって窒化タングステンの液相合成に成功していることで、原理的に本手法が新規窒化物結晶合成に有用であることが確認されている。 合成上の困難である、酸素不純物の除去においては、熱間等方圧加圧装置を原型とした新たな合成装置の開発を行い、おおむね順調に進展している。 新しい装置が立ち上がれば、1,000atm、1,800℃までの広範囲の合成条件で実験が行えるようになるため、様々な窒化物結晶合成を試みることが出来るようになる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型炉が立ち上がってからは、これまでの研究結果をもとに、数多くの実験を実施することが可能となる。 1,800℃まで反応温度を上昇させることで、多くの合金が融液化する上に、添加元素による窒素溶解の促進効果も期待できるため、これまで窒化物合成が困難であった遷移金属窒化物の新結晶や未知の結晶相の出現が期待できる。 窒化ハフニウム、窒化ジルコニウム、窒化タンタル等の、次世代の超硬質材料、半導体材料、触媒などの液相合成を行う。 さらに、上述の結晶合成が確認された場合には、本手法の最大のメリットである、単結晶合成にも着手する。 本手法は合成可能な閾値付近の圧力を維持しながら結晶合成を行うことで、低過飽和状態を維持することが可能であり、単結晶合成に向いている。単結晶が合成された場合には、速やかに各種物性測定を行うこととしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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