2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下谷 秀和 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60418613)
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Keywords | 分子性固体 / 有機トランジスタ / 電気二重奏トランジスタ / 有機半導体 |
Research Abstract |
電解液を用いた有機半導体単結晶へのキャリアドーピングによる正孔の易動度および金電極からのキャリア注入の接触抵抗を4端子法により測定した。有機半導体としては、気相輸送法で成長させたルブレンの単結晶を用い、電解液にはイオン液体を用いた。有機半導体にキャリアをドーピングした時、一般的にはキャリアドーピングに伴い、接触抵抗の単調減少が期待される。しかし実際には、初めのうちは接触抵抗はキャリア濃度の増加に伴い減少した後、極小値を持ち、その後キャリア濃度が増加するに伴い、接触抵抗も増加した。そこから、逆にキャリア濃度を減少させると増加させた場合の接触抵抗と同じカーブをたどり元の値に戻ったことから、接触抵抗の増加は資料の劣化によるものではない可逆的な変化であることが分かった。変位電流法から求めたキャリア濃度を基にして、キャリア易動度のキャリア濃度依存性を導出して接触抵抗のキャリア濃度依存性と比較すると、この接触抵抗の変化はキャリアの易動度の変化と同時に起こっており、金電極から有機半導体へのキャリア注入の接触抵抗がキャリア易動度に反比例することが分かった。この様な挙動を説明できるキャリア注入機構として、この金属電極と有機半導体単結晶の界面では拡散制限注入機構が成り立つことを明らかにした。金属電極から有機半導体へのキャリア注入の接触抵抗は有機エレクトロニクスにおける大きな課題であり、今回の結果は接触抵抗を低減させるストラテジーを考える出発点となるものである。
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Research Products
(6 results)