2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ基板上の超低転位窒化物半導体ナノエピタキシー
Project/Area Number |
23656020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 悟 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80281640)
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Keywords | III族窒化物 / 低転位化 / ポリタイプ / SiC / 選択成長 |
Research Abstract |
III族窒化物半導体薄膜は,ホモ基板の欠如とヘテロ格子不整合に伴い非常に多くの欠陥があり実用上問題となっている.デバイスの高機能化・高性能化に向けて,バルク基板の開発は必須であるが,技術的・経済的に困難な点が多い.ヘテロ結晶成長によって主な欠陥である貫通転位を大幅に低減することができれば,実用基板を用いることができ,また,現在のプロセスのままで高品質化が達成される.そこで本申請では,申請者が見いだした2つのユニークな表面現象による「SiCナノ周期表面」および「SiON超薄膜」をベースとして「ナノエピタキシー法」を提案し,窒化物薄膜の貫通転位密度の大幅な低減を計ることを目的とした. まず,分子線エピタキシー法によりSiCナノ周期表面上のGaN薄膜の形成を試みた.SiCの表面の原子レベルクリーニングを実現し,成長初期のGaN核形成をナノファセット部においてのみ生じさせることにより,その後GaN核からの横方向成長が優先的に起こる現象を見いだした.それによって基板であるSiCのポリタイプ(4H, 6H)を引き継いだ結晶構造がGaNに誘起されることが分かった.4H, 6H-GaNという新しい結晶構造を形成することに成功した,この物性はラマン分光およびフォトルミネッセンスにより確認し,それぞれ折り返しモードによる新しいフォノンモード,異なるバンド間遷移発光を観察した.成長したGaN膜の厚さが薄いためX線回折等による結晶品質(転位密度など)の評価は困難であったが,発光特性からディープレベルの発光が著しく軽減されていることやフォノン散乱などから高品質薄膜が形成されていることを示唆する結果を得た.今後数ミクロン程度の薄膜を成長し,転位密度の直接評価を実施する予定である.
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