2013 Fiscal Year Annual Research Report
極性と組成を変調した面内周期構造を持つZnO薄膜の創製とその物性
Project/Area Number |
23656035
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
安達 裕 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (30354418)
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Keywords | PLD / 極性制御 / 不純物添加 / 分極反転デバイス / 酸化亜鉛 / 透明導電膜 |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者らが見出した不純物添加による酸化亜鉛(ZnO)薄膜の極性反転現象を応用して極性と組成が変調した面内周期構造を持つZnO薄膜を作製し、低抵抗透明ZnO薄膜を実現することを目的として行われた。 前年度までに、ZnO薄膜の極性を制御するためのAl添加ZnO薄膜バッファー層の作製条件の最適化を行い、マスクを用いたパルスレーザー蒸着(PLD)法による面内周期極性反転構造を持つZnO薄膜の作製法を確立してきた。また、作製した薄膜の組成と極性が周期的に反転しているかを確認する手法として、フォトルミネッセンスによるZnOの極性判定法も開発してきた。これら研究の過程で、マグネシウム(Mg)だけではなく、アルミニウム(Al)のZnO薄膜中への取り込み効率も極性によって大きく異なることが明らかになった。 最終年度である本年は、組成と極性が面内周期構造をもつZnO薄膜の極性反転界面の特性を調査した。Mg濃度と極性が面内周期構造を持つ(Mg,Zn)O薄膜の移動度は、面内周期構造を持たない(Mg,Zn)O薄膜の移動度の約9分の1であった。このことは、極性反転界面は電子を散乱して移動度の低下をもたらしていることを示唆している。一方、ドナーであるAlを添加した(Al,Mg.Zn)O薄膜の場合、面内周期構造を持つ薄膜の移動度は、面内周期構造を持たない薄膜よりも約1.5倍大きかった。Al添加により、面内周期構造を持つ薄膜の移動度が向上した理由は現段階では明らかではない。Al濃度の空間的変調が移動度向上をもたらしているのか、それともその他の要因があるのかについて、今後も研究を継続して明らかにしていく予定である。
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