2013 Fiscal Year Annual Research Report
光通信用ファイバコンポーネントを利用した周波数自由度による量子通信アーキテクチャ
Project/Area Number |
23656044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深津 晋 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (60199164)
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Keywords | 量子通信 / 波長多重光通信 / ファイバーコンポーネント / 周波数重ね合わせ状態 / 量子鍵配送 / 差動周波数シフト / 量子ゲート / 量子アルゴリズム |
Research Abstract |
現行の波長多重WDM光通信方式は古典的な強度変調に過ぎず、量子通信には不向きである。本研究では、光通信用ファイバコンポーネントを流用するだけで「安価」かつ「平易」に量子通信プラットフォームを構築可能な新技術体系の提案と検証を目指した。 従来、量子通信等では注目されてこなかった光の「周波数重ね合わせ状態」の積極的利用を試みた。周波数ドメインは無限の広がりをもちながら物理的スペースを消費しないためファイバ最大のメリットであるインライン構成が維持でき、一方でファイバ素子の特徴が周波数弁別を容易にする特徴がある。なによりも一般的なレーザ光を流用できるのがポイントであり、量子計算への拡張の道筋も明確である。平成25年度では、前年度から継続して周波数基底による量子鍵配送プロトコル実装の検証実験を行った。その結果、差動周波数シフト方式の鍵配送が単一光子レベルの微弱光源を用いて実行可能なことを明らかにできた。0.1光子毎パルス未満の微弱コヒーレント光に対して20MHz同期の偏波変調器、強度変調器を用いることで周波数符号化光ビット列を発生、1ビット遅延干渉計によって周波数差を2検出器で振り分けることで弁別が可能なことの検証を試みた。変調パルスの遷移領域におけるクロストークによって弁別能が低下したが、理論予測との比較によって時間ゲート下でのビート信号の単一光子検出を行い、予測どおりの周波数弁別を達成した。また時間ドメインでのヤングの2重スリットによる単一光子干渉の位置づけで実験結果を精査し、周波数モードが異なる単一光子干渉の理論を構築、自己ヘテロダイン法による実験的検証に着手した。さらに量子ゲート構築への応用を試み、現行のファイバ部品の組み合わせによって基本量子ゲートが実装可能なことを検証するかたわら位相変調器を用いたコヒーレントな周波数重ね合わせ状態の発生法と量子ゲート構築法について検討した。
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