2011 Fiscal Year Research-status Report
オプチカルフローを利用した壁面せん断応力分布の超高解像度可視化技術
Project/Area Number |
23656126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅井 圭介 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40358669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 大樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20551534)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 流体計測 / オプチカルフロー / 蛍光油膜 / せん断応力 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究は,壁面に作用する流体によるせん断応力の2次元分布を超高解像度で可視化できる革新的な流体計測技術の開発を目的としている.ここで開発する手法はComputer Visionの分野で移動体計測手法として知られる"オプチカルフロー"(Optical Flow)の原理を利用したもので,物体表面にコーティングした蛍光油膜の流動の時系列光学画像から,壁面に作用するせん断応力ベクトルの2次元的な分布を画像に捉えることを目指す.また,せん断応力の計測手法の開発とあわせて,物体近傍の3次元的な流れ場との相関を調べるため,壁面上の限界流線の特異点を自動抽出し流れのトポロジーを解析するアルゴリズムの開発に取り組む. オプチカルフローの高精度計算には,時間による輝度分布変化が明確な時系列画像が必要であり,できるだけ高輝度で発光する蛍光油膜の使用が望まれる.高輝度油膜を用いれば,CCDカメラの露光時間が短くなりオプチカルフローの解像度を向上させることできる.本研究では,シリコンオイルへの親和性が高いペリレンからなる蛍光オイルを調合して用いた.蛍光油膜に含まれる色素の励起にはLED光源を,発光の計測には高速度ビデオを使用した.オプチカルフローの計算は変分法に基づく最適化法を用いた.画像間隔や初期時間を様々に変更させて,せん断応力を定量的に計測するための条件を定め,これらの手法をNACA0012翼型の風洞実験に適用した.その結果,本手法がはく離域や逆流域を含む複雑な流れの壁面せん断応力分布を定量的に計測する有効な手段であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響もあって,本年度は研究の開始が2か月ほど遅れた.8月に行われた予備風洞試験では準備が不足し十分な成果が得られなかった.実際には10月の風洞実験で初めての評価実験を行い,定量的な壁面せん断応力の計測手段として本計測法が高いポテンシャルを有していることを確認した.ただ,この実験には高価な12ビットCMOS高速ビデオカメラが用いられ,汎用性のある計測システムのとは言えなかった.一連の実験で光学系の仕様を決めるには至らず,高速カメラと光学系の導入が平成24年度当初にずれ込むこととなった.このように研究の進捗には問題が生じたが,本手法の有効性をはっきりと示す一連のデータが得られており,本研究の遅れは平成24年度の早い段階で解消するものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は壁面せん断応力の定量計測に合わせた高精細ビデオカメラとそれに付属する光学系を年度当初の導入する.これらの装置を用いて翼型模型の風洞実験を行い,ボルテックスジェネレータなどの「乱流装置」が翼面上の流れ場に与える影響を調査する.また,せん断応力の計測手法の開発とあわせて,壁面上の限界流線の特異点を自動抽出し流れのトポロジーを解析するアルゴリズムの開発に取り組み,物体近傍の3次元的な流れ場とせん断応力の相関を調べる.最終的には,これらの成果を幾つかの論文にまとめて学会で発表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に繰り越す約186万円の研究費のうち,約80万円を高精細ビデオカメラの購入にあてる.これは,今年度行った一連の実験で光学系の仕様を決めることができず,撮像装置の導入が平成24年度にずれ込んだための処置である.さらに実証用の模型の製作(材料費等)に約30万円,風洞実験に必要な光学部品の購入に約30万円を充当する.これらも今年度製作または購入を計画していたものであるが,実証風洞試験が延期されたことにより平成24年度に繰り越して実施する.研究成果は国内の学会での発表を予定しており,それらに必要な旅費として20万円を手当てする.残りの予算は実験に必要な薬品や材料などの消耗品の購入と論文の投稿料にあてる.風洞実験は年度の前半と後半に各々2週間実施する.
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Research Products
(3 results)