2012 Fiscal Year Research-status Report
機能性分子センサを備えたスマートマイクロ流路の開発
Project/Area Number |
23656132
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新美 智秀 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70164522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩樹 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50432240)
松田 佑 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20402513)
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Keywords | 流体工学 / マイクロ流路 / 感圧・感温塗料 / センサ |
Research Abstract |
本研究では表面上の二次元圧力分布計測手法として確立された感圧塗料(PSP)を拡張し,マイクロ流路そのものをセンサ化したスマートマイクロ流路を開発することを試みる.ソフトリソグラフィによるマイクロ流路の素材として広く利用されているPDMSが酸素透過性を有していることに着目し,PDMSに色素分子を含有させることにより流路そのものがいわばPSPとして機能し,光照射による発光強度を撮像するだけで壁面上の分布が可視化できるような流路として開発する.さらには,酸素濃度や温度の計測や,これらの複数の物理量を同時計測可能なスマートマイクロ流路へと発展させる. マイクロ気体流れに適用する際には,PDMSが酸素透過性を有しているために,PSPとして利用できる利点とは裏腹に流路外との流体の流出入が流れ場を変化させてしまう恐れが考えられる.そこで,色素分子を含有する層の上に気体遮断性の層と組み合わせることで,流れ場への影響を排除した.気体遮断性の層の材料の調査を行い,最適な条件を探索した.さらに,障害物や曲がり管などの複雑な形状の流路における実証試験を試みた. マイクロ液体流れに適用するために,二流体の混合流路を作製して実証実験を実施した.窒素をバブリングすることにより酸素濃度に高低差をつけた二流体の混合状態を観察した.その結果,液体の場合においてもPDMSの酸素透過性の問題が明らかとなったため,気体の場合と同様に気体遮断性の層の材料の調査を行い,最適な条件を探索した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液体においてもPDMSの酸素透過性が問題になることは想定外であったが,気体における知見を適用することができたために,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,PDMSの酸素透過性の問題を解決した上でさらに発展させ,スマートマイクロ流路をマイクロ気体流れおよびマイクロ液体流れに適用して実証試験を進める.また,温度分布の測定も可能なように,感温塗料の適用も試みる.その後,圧力と温度に感度を持つ色素分子を同時に含有するスマートマイクロ流路を作製し,マイクロ気体流れにおける圧力と温度の同時計測を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マイクロ流路として多数のサンプルを作成するため,PDMS等の薬品類を購入する.そのため,研究費を繰り越して次年度の研究費と合わせて実施する.
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