2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656148
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧野 俊郎 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30111941)
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Keywords | 生活環境と地球環境の共生 / 熱・ふく射環境制御 / 高吸放湿性・高熱伝導性 / 室内付設壁板 / バイオマス・大鋸屑 / ふく射伝熱・対流伝熱 / 室内の生活空間 / 冬の日 |
Research Abstract |
日本の夏の蒸し暑さや冬の温められた居住室内の乾きを抑えるには,湿気を呼吸する後づけ型の室内付設壁板を設けることが考えられてよい.そのような壁板に,人体や衣服と室内壁板の間のふく射伝熱を改善する機能を付与することができればさらによい.本研究では,1.そのような壁板の候補の1つとして,ハニカム的な構造をもつ多孔性の金属の板に大鋸屑を詰めた壁板を試作し,その平衡質量含水率を測定して吸放湿量の温湿度特性を推定し,湿気伝導率と熱伝導率,全半球放射率を測定した.その結果,この壁板は高い吸放湿性と高い熱伝導性をもつことが示された.さらに,2.(2011年3月11日の)東日本大震災の発生を受け,熱物性とふく射伝熱の観点から,ふく射環境制御のアイデアを生かし,仮設住宅の暑い夏・寒い冬を乗り切る工夫を日本熱物性学会のホームページ上に公開し,NPO法人3法人と株式会社1社の協力により気仙沼市の約300戸の仮設住宅の居室の窓と入口の引戸に熱容量の小さい(実装が容易な)梱包用緩衝吸収材のエアクッションを貼り,(寒い冬における仮設住宅内の)温度の上昇と結露の低減の効果(の実感)を(仮設住宅の入居者から)得た.3.上記の項目2をより学術的に展開するために,「気温25 ℃の夏の日は夏日であり,Tシャツ姿で暑い.いっぽう,冬の日には室温25 ℃の部屋でも,着衣次第では寒い.暑い/寒いは人体とその環境とのエネルギー交換量に依存するが,そのエネルギー交換は,おもに人体表面と空気との間の対流伝熱と人体表面と壁表面との間のふく射伝熱による.」(という研究代表者の定性的な知見)を強調し,簡単な伝熱モデルに基づいて,冬の日の室内の生活空間における人体と空気と壁の間のエネルギー交換に注目して簡単な計算と実験を行い,ふく射伝熱と対流伝熱の寄与を評価し,ふく射伝熱の寄与が大きいことを定量的に初めて示した.
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