2012 Fiscal Year Research-status Report
伸縮および操舵可能な超指向性音源の開発と移動静粛空間の生成
Project/Area Number |
23656165
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 信雄 首都大学東京, システムデザイン研究科, 名誉教授 (70305423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 宏之 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (90404938)
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Keywords | 能動騒音制御 / パラメトリックスピーカ |
Research Abstract |
能動騒音制御が世に普及しない理由は,制御音源の音場拡散性にある.すなわち,ある箇所の静粛性を追求すると他所での騒音増大現象がついてまわるからである.この問題を解決する手法のひとつに超指向性音源であるPAL(Parametric Array Loudspeaker)の援用が ある.PALの欠点のひとつは,その高すぎる指向性にある.すなわち,対象点のみを静粛化したとしても,ターゲットの奥に遮へい物が存在すればサウンドビームは反射してしまい,他所に影響を与えてしまう.したがって,比較的狭い閉空間場のような領域において は,PALの有効性は低い.そこで,提案研究では,操舵機能とビーム長の調整機能を有する新しいPAL,すなわちESPAL(Extendable andSteerable Parametric Array Loudspeaker)を開発する.さらに,サウンドビーム内の波面が騒音源と一致するような波面合成法を確 立することにより,悪影響を惹起しない制御音源を構築する 平成24年度は,PALのビーム長を制限する手法の確立を目指した.当該手法の実現にあたっては,2周波駆動法を導入した.それぞれの周波数による超音波ビームをステアリング操作によって別方向に操舵し,2つの超音波ビームか重なる領域のみにおいて差音が再生されることを確認した.さらに,当該研究テーマとは多少方向性を異にするが,閉空間内におけるPALの使用可能性について検討した.その結果,従来のエンドファイアアレイモデルの適用は不可能であり,擬音の効果を考慮する必要があることが,実験結果および数値解析により明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の最も重要な目的は,従来のPALにサウンドビームの操舵・伸縮・波面合成の機能を付加することにある.平成24年度においては,「サウンドビーム長の制限」が可能であることを実験的に明らかにした.これにより,サウンドビームの伸縮技術が確立され,進捗状況としては,おおむね順調に進展しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り,平成24年度においてはPALにおけるサウンドビームの伸縮技術を確立した.平成25年度においては,この伸縮技術と操舵技術を組み合わせることで,両者の特性を有するESPAL(Extendable andSteerable Parametric Array Loudspeaker)の確立を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度においては,サウンドビーム長の制限に関する実験のために,マイクロホンなどを購入する予定であったが,PALの応用に関する受託研究の申し出が某企業よりあったため,その研究費より支出した.これが剰余金発生の主な理由である.平成25年度においては,ESPALの確立およびその特性評価実験を行う予定であるので,実験補助のための人件費や諸々の消耗品の購入に研究費を充てる予定である.さらに,国際会議や国内学会のための参加費・旅費等にも支出する予定である.
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