2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656200
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 勝弘 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00403139)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アクチュエータ / ロボット / 多自由度 / 電磁力 |
Research Abstract |
人間型ロボットのような多関節を有するロボットの駆動系として,1つのアクチュエータで関節部の三自由度の動きを実現できる球面アクチュエータへの期待が高い。本研究では,今まで開発してきた構造・制御がシンプルでトルク/体格比の大きい球面アクチュエータの駆動原理を元に,現状の課題である広角駆動を解消できる,世界に類を見ない"アウターロータ型三自由度アクチュエータ"の理論的考察と基本性能を確認するとともに,試作機の作製と評価を行う。また,本アクチュエータの位置センシング法及びフィードバック制御法を確立する。更に,ロボットへの実装・実験によりその有効性を確認する。本年度の実施概要は以下の通り。1.アウターロータ型原理モデルの動作メカニズムの解明:考案した"アウターロータ型三自由度球面アクチュエータ"の理論モデルを構築し,三次元有限要素法を用いてそのトルク性能を確認した。更に,動作解析を実施して、動作メカニズムを明らかにするとともに、アクチュエータの有効性を明らかにした。また本モデルのほか、インナー型独立磁気回路型の三自由度の新モデルを考案し,シミュレーションによる基本性能を確認した。2.磁気回路の最適化シミュレーションの実施:有限要素法を用いて磁気回路の最適寸法・駆動条件の導出を行い、制御性を確保するとともに、駆動角度の広角化・高トルク化を実現した。3.アウターロータ型アクチュエータ試作機の作成:原理モデル検証のための試作機1号基本性能評価と技術課題が抽出した。更に三自由度駆動させるためのジンバル支持機構を考案してアクチュエータの試作設計を完了した。4.位置センシング方法の開発:2つのイメージセンサを用いた相対位置検知法を確立した。但し累積誤差解消のために補助磁石とホール素子を用いた原点位置検知法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.アウターロータ型原理モデルの動作メカニズムの解明:考案した"アウターロータ型三自由度球面アクチュエータ"の基本モデルに対して,三次元有限要素法を用いてそのトルク特性を計算し,各軸とも最大約1Nmと大きなトルクを実現するとともに,X,Y軸まわりに-45deg~45deg,Z軸回転において-180deg~180deg正のトルクを確認した。更に動作解析を実施して、上記駆動範囲にて動作することを確認した。更に制御が容易な、インナー型独立磁気回路型の三自由度の新モデルを考案し,シミュレーションによりトルク特性、動作特性を確認した。以上より達成度は100%2.磁気回路の最適化シミュレーションの実施:有限要素法を用いて磁気回路の最適化により、制御性の指標である平均出力トルクに対する平均コギングトルクの割合がX軸:5.0%,Y軸:7.2%,Z軸:8.2%となった。駆動角度は上述の通り,X,Y軸まわりに-45deg~45deg,Z軸回転において-180deg~180degを実現した。以上より達成度は100%3.アウターロータ型アクチュエータ試作機の作成:原理モデル検証のために試作機可能な磁石(ボンド磁石)を用いた磁気回路の再設計を実施した。そのためトルク性能は低下するとともに時間を要した。このため、三自由度駆動させるためのジンバル支持機構を含めて試作設計を完了したが、試作による性能評価の着手ができなかった。以上より達成度は70%。4.位置センシング方法の開発:2つのイメージセンサを用いた相対位置検知法を開発したが、累積誤差を生じた。このため、ホール素子を用いた原点位置検知法を開発してその効果を確認した。更に、ホール素子のみによる位置制御フィードバックの開発実験検証により最大角度誤差X軸:0.49°,Y軸:1.2°,Z軸:4.5°を実現した。更なる改良は必要である。以上より達成度は90%
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Strategy for Future Research Activity |
研究の推進計画としては、当初の計画通り,平成24年度は,有限要素法を用いた磁気回路の最適化設計を実施するとともに,MATLABを用いた制御モデルの構築と最適制御ゲインを決定する。以上をもとにして,平成23年度計画であった試作機一号機の作成評価と併せて,二号機を作成して最高性能を検証するとともに課題を抽出する。平成25年は,三自由度関節アクチュエータのロボット(肩・手首)への実装と実験検証を行う。特に次年度は設計完了した試作1号機の実験による基本性能評価をと技術課題を抽出し、MATLABモデルを用いてPIDフィードバック制御モデルの開発と最適ゲインの推定,更にベクトル制御モデルの開発と球面アクチュエータへの適用を行っていく。更に、最適磁気回路寸法の試作機2号の作製と三自由度アクチュエータ制御(複数のコイル励磁の協調制御)のためのDSP装置の導入による実験評価を行っていく予定。最後にH25年度へかけて関節アクチュエータとしてロボット上肢部(肩・手首)への実装設計を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アクチュエータ第一次試作機の最適化設計に時間を要したため、 23年度の研究費に未使用額が生じたが、次年度に納入されるため、今年度行う予定の研究計画と併せて以下の通り実施する。1.1号機アクチュエータ、2号機アクチュエータの試作機および実験治具の作成と制御のためのDSPシステム装置を導入。2.テーマ打ち合わせ、研究成果報告のための学会出張旅費
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Research Products
(3 results)