2011 Fiscal Year Research-status Report
格子歪みを誘起したシリコン基板上への無転位ゲルマニウム層の形成
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23656208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 靖彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60303541)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | MBE、エピタキシャル / 結晶成長 / 格子欠陥 / 電子・電気材料 / 半導体物性 |
Research Abstract |
本研究では、Si 上へ無転位のGe層をエピタキシャル成長することを最終目標とする。従来にない新しいアプローチとして、パターン化したSiNx膜を応力源としてSi基板表面へ引っ張り格子ひずみを導入し、格子不整合を減少させることでGe選択成長層の転位密度を低減する方法を検討する。 平成23年度は、(a)応力内包SiNx膜のSi基板への堆積、(b)フォトリソグラフィーによるパターン化、を進めると共に、(c)選択Ge成長の初期検討、を行った。 現有のスパッタリング装置を用い、4インチSi(001)ウエハ上へのSiNx膜形成を実施した。これまで実績のない引っ張りひずみを内包するSiNx膜堆積の条件出しを行い、チャンバ圧力(アルゴン流量)を増加させることで引っ張りひずみを導入できる見通しが立った。定量的なひずみの評価を進めている。並行して、引っ張りひずみを内包したSiNx膜付Siウエハを外注・購入し、以下の実験を進めた。 フォトリソグラフィーとドライエッチングを用い、SiNx膜に幅10umの四角形やストライプ状の開口パターン(Si表面が露出)を形成した。超高真空化学気相堆積法により、開口部への選択Ge成長を試みた。SiO2膜をマスクとする選択Ge成長では、SiO2上への多結晶Ge堆積は全く見られないのに対し、SiNxマスクの場合には、SiNx上に多結晶の堆積が見られ、選択性が低下した。一方、開口部へはGeがエピタキシャル成長することが明らかとなった。SiNx膜上にSiO2膜を形成した2層マスクを用い、多結晶の堆積をなくす予定であり、SiNx膜を応力源として引っ張りひずみを導入したSi基板表面にGeを選択成長する見通しがたった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた(a)応力内包SiNx膜のSi基板への堆積、(b)フォトリソグラフィーによるパターン化、および、(c)選択Ge成長の初期検討、を実施できた。SiNx膜上への多結晶Geの堆積はあったものの、SiNx開口部へのGe成長を確認でき、おおむね予定通りに実施できた。SiNx膜上への多結晶Geの堆積は、研究応募時から想定していた現象であり、除外する方策もある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していたとおり、パターン化したSiNx膜を応力源として格子歪みが導入されたSi基板上へのGe選択成長を本格的に実施する。Si 基板表面の格子定数を増大することによって、Si上Ge選択成長層中の転位が低減できるかを明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費として140万円を使用する予定である。消耗品(ガス、Siウエハ)に80万円、成果発表に30万円、外部機関によるSiNx膜の堆積に30万円を使用する予定である。
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