2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ凝集界面によるコレステリックブルー相の安定化と高速ディスプレイ応用
Project/Area Number |
23656221
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾崎 雅則 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50204186)
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Keywords | 液晶 / コレステリックブルー相 / ナノ粒子 / 電気光学効果 / 偏光無依存 |
Research Abstract |
本研究では、ブルー相(BP)液晶内の欠陥部位の凝集界面に金ナノ粒子(NP)を分散し、このBPの安定化とその三次元構造を利用した偏光無依存光変調素子の実現を目指した。 BP液晶にスパッタリング法を用いてNPを添加し、BPの熱安定性を評価した。金ナノ粒子の添加によって、昇温過程でBPの発現温度範囲が拡大し熱力学的なBPの安定化が確認できた。またBPの発現温度範囲はNPの導入量に比例して拡大しており、高濃度のNPの添加により、BPを不安定化する配向欠陥がより多く排除されたと考えた。一方、過剰にNPを添加した試料ではブルー相I(BP I)の温度範囲は拡大するがブルー相II (BPII)が消失し、BP IとBP IIの単位体積に占める配向欠陥の割合の違いが関係するものと考えられる。 等方相、BP I、BP IIおよびコレステリック(Ch)相の各々におけるNPの分散性を、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)の観察により評価した。等方相およびBPI、IIでは、金ナノ粒子のLSPRに起因する明瞭な吸収ピークが観測されたが、Ch相ではその他の相に比べ吸収ピークのブロード化と長波長シフトが起こり、NPの分散状態が各々のキラル相の秩序構造に依存することが明らかとなった。 屈折率の電界依存性を評価するために、ファブリ・ペローエタロンの空隙にBP液晶を導入し、BP IIにおいて透過ピーク波長の電界依存性を調べた。その結果、NPの添加の有無にかかわらず、電界印加により屈折率が低下しその変化量は低電界領域においてほぼ電界の2 乗に比例するカー効果が確認された.また、NP添加していない場合、電界強度4.4 V/μm でBPからCh相へ転移したのに対して、NP添加BPIIにおいては、電界誘起Ch相転移が見られず、比較的高電界の印加が可能となり、0.011(8.48 V/μm)と大きな屈折率変調が実現できた.
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