2012 Fiscal Year Annual Research Report
周波数遷移を利用したMEMS単一素子でのベクトル触覚センシング
Project/Area Number |
23656239
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 馨 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40263230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 実 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20294168)
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Keywords | 触覚 / 共振 / 圧電 / MEMS |
Research Abstract |
エラストマ中にカンチレバーを埋め込んだ構造体をモデリングし,エラストマ表面に触覚荷重を印加した状態を解析して,触覚荷重に対する共振周波数の変化を調べた。その結果,適切にモードを選ぶことにより,各周波数の変化率から三軸ベクトル触覚の各成分を分離して推定することができ,またその応答がわずかな非線形性を含むことを明らかにした。さらにこの応答の非線形性が,周波数変化から印加荷重を逆推定する際の推定誤差を大きく拡大する要因になっていることを見いだした。そこで,応答非線形性を低減できる構造体について検討した。 初年度に設計したカンチレバーは,互いに直交する二平面内で振動する二つの振動部分をもつ構造としていた。これは,各々の振動面内方向の荷重に対して応答できることが直感的にも理解し易いという観点で採用していた。しかし,各々の振動が互いに干渉し合うことにより応答非線形性を悪化させる要因になっていることが分かった。そこで,振動部分を一カ所しか持たない単純な構造のカンチレバーでの三軸ベクトル応答を検討した。そのままでは振動面に直交する方向の荷重に応答できないため,カンチレバーの先端に小さな鉤状部分を設け,振動面に直交する方向のエラストマ変形を捉えられる形状とした。この改良構造では応答非線形性を低減でき,触覚推定誤差を昨年度構造に比べて半分以下にできることを見いだした。 最終的に改良型のカンチレバー構造を作製するためのプロセス開発を行った。振動誘起部分は圧電体を含む大きな曲率半径を持つ形状とし,先端鉤状部分は圧電体を含まず小さな曲率半径の小型な形状とする必要がある。そこで,シリコン熱酸化膜上に形成したPt/Ti薄膜に熱処理を施すことにより,曲率を制御することを試みた。熱処理条件の最適化とプロセス工程順の工夫により,単一のカンチレバー構造体中に所望の異なる曲率を持つ部位を作り込むことに成功した。
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Research Products
(4 results)