2013 Fiscal Year Annual Research Report
個の動作と全体の挙動の関連性に着目した無線ネットワークの解析
Project/Area Number |
23656249
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
阪田 史郎 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 教授 (80375609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関屋 大雄 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (20334203)
小室 信喜 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (70409796)
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Keywords | 無線マルチホップネットワーク / スループット解析 / アドホックネットワーク / ネットワーク / QoS / 自律分散ネットワーク |
Research Abstract |
無線マルチホップネットワークは、既存のネットワークインフラを必要としないため、非常時の一時的なネットワーク、無線ホームネットワーク、ITSなどへ利用が期待されている。しかし、複数の端末が自律分散的に動作するため、ネットワーク全体の挙動や特性を解析的に把握することは極めて複雑で困難な問題となる。スループット、平均遅延などのネットワークの諸特性はシミュレータを用いたシミュレーションで評価することが多い。しかし、統計データを得るまで膨大な時間を要するという本質的な欠点がある。一方、「解析」は一旦解が求まれば短時間に結果を把握できる。さらに数式から多くの情報を入手でき、評価に数学的な保証が加わるなど多くの利点を得られる。 無線ネットワークの特性解析として、Bianchiによって提案されたマルコフ過程に基づく確率論的解析手法が知られており、この手法に端を発し様々な条件下で深い議論が展開されている。しかし、これら一連の議論はシングルホップを想定したものであり、スループットや遅延特性は複数の端末が同時に送信を開始することに起因するフレーム衝突率に支配される。一方、無線マルチホップネットワークでは、隠れ端末問題に起因するフレームの衝突が支配的であり、その影響を組み込んだ新しい理論の構築が必要である。 本研究では無線ネットワークにおいて、ネットワークを構成する「個」の動作がネットワーク「全体」の振る舞いに及ぼす影響をモデル化するという独自の解析アプローチを提唱し、任意のネットワークトポロジや送信負荷を与えたときにネットワーク上のスループット、平均遅延、衝突率などの統計データを解析的に表現することに挑戦する.本研究の成果はネットワークの本質を解析的に明な形で理解することにつながり、今後の無線ネットワークの発展においてブレークスルー技術になりうる。
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