2011 Fiscal Year Research-status Report
定着・施工性能融合による鉄筋コンクリート構造細目規定のパラダイムシフト
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23656278
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長井 宏平 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (00451790)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 過密配筋 / 3次元離散解析 / 微細構造解析 / 定着性能 / 横方向筋 / 脆弱領域 / 施工性能 / 鉄筋間通過 |
Research Abstract |
複雑な配筋状態での鉄筋コンクリートの定着性能を評価するために,三次元離散解析手法による微細構造解析プログラムの拡張を実施した。破壊形態の再現のみに留まっていた既往のモデルを改良し,鉄筋のひずみ分布や抜出し量といった定量的な値を解析での再現を可能にした。この修正ではコンクリートの引張軟化挙動を変更し,鉄筋周りのポーラスな層をモデルに取り入れている。これ用いて,実際の柱梁接合部を想定して行われた実験を対象に解析を行い,解析の再現性を確認したうえで,定着性能の検討を行った。定着性能を決定する要因として,1)鉄筋あきの変化,2)横方向筋量の変化,3)鉄筋端部形状の違いに着目し,複数鉄筋の引抜試験の解析を実施した。1)については,鉄筋間のあきが狭い場合に脆弱な領域が形成されることを仮定することで,実験で確認された現象を再現することができた。また,鉄筋のずらし量が変化することで脆弱な領域の応力状態が異なり,定着性能が著しく低下することを確認した。2)については,複雑なひび割れに影響される為,理論的にその解を求めることが困難な現象を数値解析により再現可能であることを確認した。3)については,過密鉄筋解消に期待される機械式定着具をかぶりの薄い箇所へ適用することを検討した。解析は実験を良好に再現でき,かぶり厚よりも横方向筋量による定着性能への影響が大きく,横方向筋量が少ない場合には定着具位置で破壊が局所的に進行することを確認した。また,施工性能の検討には,粒子法プログラムを適用し,フレッシュコンクリートを骨材とモルタルの2層モデルと扱い,過密配筋への流動の例として鉄筋間隔と骨材量をパラメータに流動解析を実施し,既往の実験との比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値解析プログラムの適用範囲と精度の向上が達成され,今後様々なケースをシミュレーションするための基盤が強化された。また流動解析に粒子法プログラムの適用を試み,定性的ではあるが閉塞挙動を再現できた。以上より,研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
定着性能と施工性能,ともに実験と数値解析を併用しそれぞれの挙動を解明し,鉄筋の配置との関係を体系化することで,構造細目規定の合理化の提案を目指す。これは当初の研究計画の方向性と合致するものである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度も前年に引き続き,定着性能の施工性能の両方面からの挙動解明と,設計・照査法の提案を目指す。定着性能の解明のためには,現在までに構築した解析プログラムの精度向上と適用範囲を広げる。数値解析の検証のために,多方向に配筋を施した鉄筋コンクリートの引き抜き試験を実施する。この実験のための物品費が主に計上される。材料費と,計測装置である。また,施工性能についても同様に,粒子法プログラムを整えたので,フレッシュコンクリートの流動に関する実験を通して詳細な挙動確認を行うための経費が計上される。様々な配筋状態を再現し,流動試験を行う予定である。また,設計・照査法の提案のために,国内のみならず海外文献の収集をする。
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Research Products
(3 results)