2011 Fiscal Year Research-status Report
自然由来で環境問題を引き起こしうる掘削土を、直接活用する対応のメカニズムと設計
Project/Area Number |
23656296
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
勝見 武 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60233764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90324706)
高井 敦史 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (30598347)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ジオシンセティッククレイライナー / 重金属 / 吸着試験 / 透水係数 / 酸性廃水 / 底部ライナー / 水酸化鉄 / ゼオライト |
Research Abstract |
本研究は、自然由来で重金属を含有したり酸性化を呈しうる土砂や岩石への対応について、封じ込め盛り土など昨今実施されている対策手法は課題な対策となっていないか、現場で要対策土砂とそれ以外をいかに迅速にかつ確実に分別するのか、といった課題を検討すべく、掘削土砂をそのまま活用する対策法を提案するものである。本年度は、掘削土砂の現地での活用に不可欠な底部ライナーの遮水性能、重金属吸着性能を実験的に検討した。具体的には、ジオシンセティッククレイライナー(GCL)、水酸化鉄、ゼオライト、等を用い、吸着試験および透水試験を実施し遮水性能、重金属吸着性能の性能評価を中心に行った。掘削土砂や岩石が空気や雨水に曝露され酸化された場合、含有する重金属の溶出が促進され、高濃度の重金属含有水が排出されることが懸念される。そこで本研究ではこの重金属を含有する酸性廃水を透水させることで、実現象を想定した材料特性の評価を行った。 これまで得られた研究の成果として、GCLやゼオライトを底部ライナーに用いた場合、いずれの材料を用いた場合であっても10-11~10-9 m/sオーダーの高い遮水性能を発揮しうることが透水試験結果から明らかとなった。また、ヒ素や鉛等の重金属がベントナイト等の鉱物表面に吸着されることで、地下水中の重金属濃度を低減しうることが分かった。これらの結果から自然由来で重金属を含有したり酸性化を伴う掘削土砂・岩石を現地でそのまま活用する対策技術として、GCL等や水酸化鉄等が有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究実施計画は、(1)重金属溶出や酸性水発生の可能性のある土砂・岩石を活用する際、ベントナイトあるいはベントナイト系遮水材は遮水性能を発揮しうるのか、(2)ベントナイトあるいはベントナイト系遮水材により重金属の溶出や酸性水の溶出は抑制できるのか、(3)岩石や土砂の価yぴらりー効果により遮水性能を高めることができるのか、といった点に着目し、それらの項目の解決を図るべく実験的検討を行うものである。本年度得られた成果は上記の(1)ならびに(2)に該当するものであり、遮水性能評価および重金属吸着能について実験結果が得られている。また、(3)のキャピラリー効果についても基礎検討は実施済みであり、キャピラリー層が排水層として機能し、下部浸透を抑制できることを実験的に示している。これらのことから、研究実施計画に基づき現状はおおむね順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた成果および当初の研究計画に基づき、以下の点について一部継続しつつ今後検討を行う。(1)重金属溶出・酸性水発生が懸念される土砂・岩石あるいは災害廃棄物・津波堆積物をそのまま有効に活用するための適切な対策技術の検討 本年度と同様、底部ライナーに用いる材料の特性について遮水性能、重金属吸着性能の観点から実験的検討を継続して行う。また、2011年に発生した東日本大震災に伴い発生した膨大な災害廃棄物・津波堆積物に関してもそのまま活用するための技術的検討が不可欠である。これらの問題は昨年4月以降に主に議論が開始されたため、本研究についてもより多角的な検証が必要となったことから、研究費を含め当初の研究計画を変更している。今後は重金属溶出リスクを有する土砂・岩石に対しての検討と併せ、災害廃棄物・津波堆積物に対する適切な対策工法について、実験的検討を実施する。(2)ベントナイト混合土やGCL等の遮水材を用いて効率的に環境対応を行うには、どのような構造と設計手法が考えられるのか 得られた成果を基に、重金属溶出リスクを有する土砂・岩石のメカニズムを総括するとともに、効率的な遮水構造とその設計委手法の提案を行う。また、災害廃棄物の適切な処理および積極的な有効利用を推進するため、土木資材としての品質について実験的検討を行い、基準について提案を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
継続して実施する「掘削土砂・岩石をそのまま活用するための遮水材の遮水性能・重金属吸着性能評価」ならびに「東日本大震災に伴う災害廃棄物・津波堆積物の適切な処理方法の検討」について、室内試験を実施することから、物品費としては実験用の消耗品費が中心となる。これらの成果は、自然由来汚染土への対応方針、災害廃棄物・津波堆積物の適切な処理方針に大きく影響することから、広く社会への発信に努める必要がある。そのため、国内外を問わず学会発表、論文投稿を実施することから、それらの経費も本研究費から充当する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Na-bentonite as rock containment barrier against heavy metals and acid leachates2011
Author(s)
Naka, A., Katsumi, T., Inui, T., Flores, G., and Ohta, T.
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Journal Title
GEOMATE 2011 - First International Conference on Geotechnique, Construction Materials & Environment
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed
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