2011 Fiscal Year Research-status Report
24時間内の集中豪雨発生場所・時間と降雨量の高確度予測手法の開発
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23656304
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安田 孝志 岐阜大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10093329)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 集中豪雨 / 降雨量 / 降雨予測 / 降水ナウキャスト / 局地気象予報 / アンサンブル予測 / レーダーアメダス解析雨量 / 合成レーダー雨量データ |
Research Abstract |
交付申請書に記載した研究実施計画に沿って研究を進め,気象モデルの雲微物理過程の高精度化を粒径2μmから3.3mmの32種類の雲微粒子モデルの導入によって果たした.ついで,それに合わせて雲微物理量の初期値についても気象レーダー画像とのデータ同化によって精度を向上させる手法を開発した.また,岐阜・愛知両県内に10km前後の間隔で線上に設置された雨量計によって捕捉された2009年および2010年の40mm/h超の豪雨を対象として,豪雨予測成功事例データベースの構築を試みたが,雨量計設置点において40mm/h超降雨が発生する回数自体の少なさに加え,成功事例も少なく,データベースの構築には至らなかった.しかし,10km間隔の雨量計データの解析により,集中豪雨の実態が非常に強い不安定による降雨域の時空間的集中現象であることを明らかにし,1時間内の予測に対して本研究において新たに開発した画像解析的手法が有効であり,それより先の時間に対してはアンサンブル予測が必須となることを明らかにした.この画像解析的手法は,任意の対象地点での降雨量の時間変化を降雨域の剛体運動的並進と生成・消滅・拡大・縮小などによる複雑変化に分け,後者による降雨域の時間変化を画像解析的に予測するものである.これによって,20mm/h超降雨の40分先予測に対して気象庁降水ナウキャストの精度を上回る高精度予測が達成できることを実証した.2011年度も集中豪雨が頻発したこともあり,本研究に対する社会的関心は高く,毎日新聞で報道された記事が契機となり,フジテレビやテレビ愛知でも研究成果が紹介されるなどの反響を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
線上に10km前後の間隔で設置された雨量計による40mm/h超降雨データを入手し,その解析によって,集中豪雨が降雨域の極度の空間的および時間的集中よる異常現象であることが再認識できた.その集中に対しては何ら法則性を見いだすことはできず,集中豪雨の予測対しては確率現象として扱うアンサンブル予測が不可欠となることを認識できた.このような集中豪雨であっても,豪雨域が移動する場合で,かつ1時間先までの予測に対しては,画像解析的手法が有効なことを示すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
吉野助教がイギリスReading大学気象学部での長期出張から帰学し,分担者に復帰するため,集中豪雨の確率的集中性を踏まえたアンサンブル予測手法の開発が期待できる.また,20~40mm/h超降雨に対する画像解析法による豪雨予測手法の高精度化を,10km間隔雨量計dataとの同化によって試みる予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究を推進するため,以下のように研究費を使用する.・研究課題に関わる資料収集,打ち合わせおよび成果発表のための旅費として,70万円を使用.・数値シミュレーションに必要なウェブサーバ,PC周辺機器,ソフトウェアおよび気象データ等の購入費として90万円を使用.・降雨データや資料収集,計算結果の解析補助等に対する謝金として30万円を使用.・研究成果を英文誌等に投稿するための英文校閲および論文投稿料として9万円を使用.
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