2011 Fiscal Year Research-status Report
地震動レベルをスイープする変形指定逆問題型キャパシティースペクトル法
Project/Area Number |
23656340
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹脇 出 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20155055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 信太 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30432363)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 耐震設計 / 応答スペクトル / 逆問題 / 限界耐力計算 / 地震動レベル |
Research Abstract |
本研究では、2000年改正の建築基準法(限界耐力計算)で導入された従来のキャパシティースペクトル法(以下CS法)とは全く逆の発想により、「応答を指定して」それに対する「入力地震動レベルを決定する」という、これまでの構造設計パラダイムを覆す方法(インバースCS法)を提案する。これにより、CS法における問題点としての不確定な繰り返し操作を必要とせず、幅広い入力地震動レベルに対する応答特性を把握しながら設計を行うことが可能となる。インバースCS法の最大の特徴は、入力地震動レベルが決められたCS法では等価線形化で必要となる非弾性応答変形は応答評価後に決まる量であるため構造物の応答を評価するには必然的に繰り返し操作が必要であるのに対して、非弾性応答変形を前もって定めるため繰り返しが不要となる点にある。本年度において、以下の成果を得た。(1)限界耐力スペクトルやNewmark-Hallのスペクトルに対して「インバースCS法」を展開した。本手法では逆問題型解法により繰り返し計算が不要である利点を最大限利用している。建物の1次固有周期領域により、地動最大加速度が入力地震動レベル指標となる場合と、地動最大速度が入力地震動レベル指標となる場合がある点に留意し、それを適切に考慮した方法を構築した。(2)鉄骨造やRC造の種々の復元力特性モデルについてインバースCS法を適用し、変形能力の違いが「変形-入力地震動レベル」関係や「変形-スペクトル加速度」関係、「変形-等価減衰定数」関係に及ぼす影響について検討を行った。さらに種々の制振ダンパー(粘性、粘弾性、履歴)を組み込んだ場合の設計法も展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標であるインバースCS法の構築に向けて、その基礎理論の部分を構築した。当初計画に沿って、鉄骨造やRC造の種々の復元力特性モデルについてインバースCS法を適用し、変形能力の違いが「変形-入力地震動レベル」関係や「変形-スペクトル加速度」関係、「変形-等価減衰定数」関係に及ぼす影響について検討を行った。さらに種々の制振ダンパー(粘性、粘弾性、履歴)を組み込んだ場合の設計法も展開した。ほぼ予定通りの進捗状況といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は、「インバースCS法」を制振ダンパー付き鉄骨造、RC造、木造に適用した具体的な事例について詳細な検討を行う。さらに構造種別(S, RC, Wood)ごとおよび建物層数に応じて有効な制振ダンパーを見出す独自の方法を構築する。(1) H23年度に展開した「インバースCS法」を制振ダンパー付鉄骨造、RC造、木造建物に適用する。ダンパーとしては、粘性ダンパー(オイル)、粘弾性ダンパー、履歴ダンパーを採用する。横軸を指定変形量として、地動最大加速度(あるいは速度)やスペクトル加速度および等価粘性減衰定数をグラフ化し、「インバースCS法」の特徴を詳細に把握する。(2) 上記成果に基づき、構造種別および建物層数に応じて有効な制振ダンパーを見出す方法を構築する。従来の入力地震動レベルを一意に規定していた繰り返しを伴うキャパシティースペクトル法では達成し得なかった成果が得られる。(3) 地動最大加速度、加速度パワー、速度パワーをパラメトリックに変動させた模擬地震動群を作成する。一方、層剛性、強度をパラメトリックに変動させた骨組を設計し、本研究で展開する「インバースCS法」の妥当性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インバースCS法の妥当性検証のために数値解析と振動台実験を行う予定である。ソフトウェアおよびPCの購入と実験供試体作成に物品費を当てる。実験に必要となるアンプ(増幅器)も購入する予定である。また、成果発表・資料収集などに旅費を計上する。その他、成果発表代などにも物品費を当てる。
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