2011 Fiscal Year Research-status Report
室内空気質と冷房エネルギー消費の改善を目指した息する通風換気ファザードの最適設計
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23656352
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
倫 裕發 東京工芸大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (20402670)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 通気換気ファザード / 通風 / 文献調査 / CFD解析 / 風洞実験 / 持続性 / 省エネルギー |
Research Abstract |
研究目的は、室内空気質と冷房エネルギー消費の改善を目指した「息する通風換気ファザード」の評価手法及び設計法を提案することである。研究の実施計画は4Stageからなる。2011年度は、研究Stage 1と研究Stage 2を実施した。研究Stage 1では、国内外の通風換気ファザードを既発表文献から調査した。調査文献数は138件で、文献題目の内訳は、多機能窓:38件、サーマルマス・断熱材:9件、ソーラーチムニー:3件、ダブルスキンファザード:6件、換気量調整型窓サッシ:4件、屋根設置型換気塔:18件、換気促進壁:11件、緑地化屋根・壁:13件、スカイガーデン:2件、気候適用型ファザード:1件、その他:17件、CFD解析:14件、自然換気利用建物:3件である。調査項目は、気象条件、住宅の特徴、通風換気効果、ランニングコスト等である。2011年9月に、調査結果を報告書「Stage 1 Report: Literature Review」としてまとめた。 次に研究Stage 2では、作成した文献データベースから、実施可能な通風換気ファザードとして、多機能窓、サーマルマス・断熱材、ソーラーチムニー、ダブルスキンファザート、換気量調整型窓サッシ、換気促進壁、緑地化屋根及びスカイガーデンの8項目を抽出し、屋外気流の誘引性能、ランニングコスト、室内空気質の改善効果の視点から検討した。特に屋外気流の誘引性能については、数値シュミレーション(CFD)解析した、汎用型のk-ε乱流モデルを用い、CFDはANSYS FLUENTソフト、面状グリッド作成はICEMソフトを使用した。2011年12月中旬に、CFD解析結果を「Stage 2 Report:Preliminary Evaluation and Screening of Feasible Features」として報告書を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の実施計画は4項目のStageからなり、2011年度は研究Stage 1と研究Stage 2を実施した。研究Stage 1では、国内外の通風換気ファザードを既発表文献から調査した。調査文献数は138件で、文献題目の内訳は、多機能窓、サーマルマス・断熱材、ソーラーチムニー、ダブルスキンファザード、換気量調整型窓サッシ、屋根設置型換気塔、換気促進壁、緑地化屋根・壁、スカイガーデン、気候適用型ファザード等である。気象条件、住宅の特徴、通風換気効果、ランニングコストから詳細に比較調査した。次に研究Stage 2では、実施可能な通風換気ファザードとして、多機能窓、サーマルマス・断熱材、ソーラーチムニー、ダブルスキンファザード、換気量調整型窓サッシ、換気促進壁、緑地化屋根及びスカイガーデンの8項目を抽出し、屋外気流の誘引性能、ランニングコスト、室内空気質の改善効果の視点から検討した。CFD解析も行った結果、経済性を重視した場合、換気促進壁が最も実現性が高い通風換気ファザードであることが判った。風洞実験によるCFD検証データの取得については、風洞模型の仕様決定に時間を要したので、2012年度に実施することにした。従って、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
風洞実験によるCFD検証データの取得については、研究計画を変更して、2012年度だけで実施することにしたので、風洞模型制作に充当予定だった費用(836,009円)が残額として生じた。残額は、下記の2012年度の研究計画と合わせて執行予定である。 2012年度は研究の実施計画後半である研究Stage 3と研究Stage 4を実施する。研究Stage 3では、通風換気ファザードの換気促進壁をICEMソフトで細部に至るまで再現する。屋外気流の誘引性能と室内空気質の改善効果について、ANSYS FLUENTで各種の視点から詳細分析する。次にCFDシュミレーションツールの精度検証のために、単室住宅と中層集合住宅について風洞実験を実施する。測定項目は壁面風圧係数、開口部流入風速、室内気流ベクトル分布、通風換気量及び室温である。測定には多点微差圧計、熱線風速計、マルチマルチモニター及びサーミスター温度計を使用する。とくに開口部流入風速については風向判別できるスプリットセンサーを使用する。風洞実験から得られた風圧係数、開口部ベクトル風速、室内気流ベクトル分布及び通風換気量を検証用データとして用いて、CFDシュミレーションツールの精度検証を実施する。通風換気ファザード近傍の流れは、急加速、急減速が起こる複雑な乱流場である。汎用型のk-ε乱流モデルを基本とするが、精度が良くない場合は、改良k-εモデル、LESなど各種の乱流モデルを追加検討し、シュミレーションツールを改良する。 研究Stage 4では、研究Stage 3のCFD解析から得られた「通風換気ファザード」の知見を元に、「息する通風換気ファザード」の設計ガイドラインを提案する。研究Stage 1から Stage 4までの通風換気ファザードに係わる研究成果を総括し、研究成果報告書を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・物品費:通風による涼風効果を調べるために、高い応答性のサーミスター測温抵抗体プローブと高い分解能のデータロガーが必要になる。風洞実験用の単室住宅模型と中層集合住宅模型は、模型端部や開口部が模型内外の流れに影響を及ぼすので、高い製作精度が要求されるため、模型製作会社に発注する。換気量測定のトレーサーガス、ガスモニターのフィルター、風速測定のスプリットプローブ及びフィルター校正等が必要である。・人件費・謝金:実験補助者及びデータ解析者のための謝金が必要である。・旅費:学術講演会の参加費、その他:学術誌、国際シンポジュウムへの投稿料が必要である。
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