2011 Fiscal Year Research-status Report
広域リージョンの戦略的連携による社会的サービス機能の集約・分担と居住地凝集化
Project/Area Number |
23656360
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
大貝 彰 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10160433)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 純一郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10270258)
姥浦 道生 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20378269)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 都市・地域計画 / 広域計画 / 社会的サービス機能 / 集約化 / 凝集化 / ガバナンス / 空間戦略 / 官民連携 |
Research Abstract |
1. 「集約化拠点」と「連携」による空間形成の在り方(大貝担当)では,マルチエージェントモデルを用いて単純化した仮想空間モデルを構築し,人口減少と高齢化の進行に伴う居住地の凝集化と社会的サービス施設の拠点化の中長期的な変化をみるシミュレーターを開発,シナリオ設定によるシミュレーションから,居住地の凝集化と施設の拠点化には,政策による施設維持支援と利用施設までの移動のしやすさが大きく影響すること。そして,人口減少が避けられない我が国において,社会的サービスの提供を維持しつつもコンパクトな空間形成を目指すには,サービスサブ拠点維持の政策が重要であることを示唆した。またEU圏の広域空間計画の先進事例として,イングランド,ウェールズの地域空間戦略とガバナンスについて文献等を元に基礎的知見を得る調査を行った。2. 社会的サービス機能の垂直的・水平的分担の戦略的連携手法(姥浦担当)では,ドイツにおける各部門別インフラ施設の整備計画と空間計画との関係について調査を行った。その結果、公共サービスの維持のために、地域における拠点形成の重要性が認識されていること、その実現のために部門別計画と空間計画との連携が進められていることを明らかにした。3. 居住地凝集化の土地利用誘導手法(浅野担当)では,行政区域内に中山間地域を多く抱えると考えられる、非可住地面積が200km2以上かつ行政区域の50%以上を占める全国の自治体205市に対して、アンケート調査を行い、居住地凝集化に対する土地利用計画の可能性、実際の計画策定状況や運用状況を尋ねた。その結果、居住凝集化は将来の課題との認識が強く、具体的な計画手法として都市計画マスタープランの活用を挙げる傾向が強いことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大貝は,当初の研究実施計画に記した手法とは異なるが,マルチエージェントシステムを用いたシミュレータ開発を行い,社会的サービス機能の集約化と分担という観点から,中長期的な広域空間形成条件の提示に向けた知見を得ている。当初予定した方法論とは異なるが,研究の目的の達成に向けて一定の成果を挙げている。 姥浦は,ドイツの先進的取組事例のヒアリング調査を実施し,公共サービス維持のために、地域における拠点形成の重要性が認識されていること、その実現のために部門別計画と空間計画との連携が進められていることを明らかにし,自治体間の戦略的連携手法の提示に向けた知見を示している。 浅野は,日本の中山間地域を多く抱える自治体へのアンケート調査より,現状の自治体において,居住凝集化は将来の課題との認識が強いこと、具体的な計画手法としては都市計画マスタープランの活用を挙げる傾向が強いことを明らかにしており,居住地凝集化の土地利用誘導手法の提示に向けた課題を明らかにしている。 以上のとおり,研究の目的の達成に向けて,各自が各自のテーマで計画的に取り組み,一定の成果を挙げている。また2012年度の建築学会大会都市計画部門のオーガナイズドセッションに各自が各自のテーマで成果を発表予定である。以上の点から,おおむね順調に進んでいると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
大貝は,昨年度開発した居住地凝集化と社会的サービス施設の空間シミュレータに新たな要素を加えて,広域空間形成の在り方に対するマクロな示唆を得ることを目指すとともに,EU圏における広域空間計画の先進事例の現地ヒアリング等から,我が国の広域空間戦略と広域ガバナンスの課題を明らかにする。 浅野は,都市計画マスタープランの活用事例について、居住地凝集化に向けたマスタープランの活用の仕方、位置づけ方、行政組織内の体制との関係等を明らかにし、現状の課題を多面的に明らかにする。 姥浦は,我が国における公共サービスの維持管理のための広域連携の実態について、特に定住自立圏構想に着目してその実態と課題に関する調査・分析を行い,サービス機能の分担・連携手法構築に向けた課題を明らかにする。 年度末には,3者の研究成果を持ち寄り,議論を行い,我が国における広域地域空間形成のための計画理論構築に向けた諸課題を整理する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大貝は,今年度予定していた海外調査(EU圏自治体当等へのヒアリング調査)を進捗状況から次年度に回したため,24年度は主に海外旅費(6泊8日:35万×3名)で使用,その他には研究発表・研究打ち合わせ国内旅費,シミュレーション・ソフトウェア購入,資料整理謝金,消耗品等で使用予定。 姥浦は,研究発表・研究打ち合わせ国内旅費,資料整理謝金,消耗品等で使用予定。 浅野は,自治体へのアンケート調査費用,消耗品等で使用予定。
|
Research Products
(5 results)